• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Annual Research Report

糖脂質に対するサルT細胞応答の実証に基づく、新たな抗結核ワクチンの開発

Research Project

Project/Area Number 24390255
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

杉田 昌彦  京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 五十嵐 樹彦  京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90467431)
中村 孝司  北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20604458)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords結核 / ワクチン / 脂質
Research Abstract

結核菌は、宿主体内に豊富に存在するグルコースを基質としたミコール酸転移反応により、グルコースモノミコール酸を新生する。この応答は強力な自然免疫刺激活性を有するトレハロースジミコール酸の産生抑制をもたらすことから菌の自然免疫逃避機構と考えられるが、一方で新生されたグルコースモノミコール酸は獲得免疫の標的となる。本研究グループはこれまでに弱毒化ウシ結核菌BCGを接種したアカゲザルの末梢血において、グルコースモノミコール酸特異的T細胞が出現し、追加免疫によりその細胞数が増加することを見出した。グルコースモノミコール酸が体内増殖菌のマーカー脂質であることを考え合わせると、脂質をベースとした新しい抗結核ワクチンとして機能する可能性が考えられた。これまでの解析は末梢血単核球を用いたものであり、感染組織における応答のクオリティーは不明であった。そこで感作アカゲザルの皮膚にリポソームに挿入したグルコースモノミコール酸を接種し、その応答の詳細な解析を行った。その結果、接種局所ではTh1ケモカインであるCXCL9、CXCL10、CXCL11の発現が亢進し、実際Th1応答の指標であるインターフェロンガンマとT-betの発現が選択的に高まっていることを見出した。さらにパーフォリンやグラニュリシンなどの殺菌物質、またマクロファージ遊走因子であるCCL2、CCL4、CCL8の発現亢進を認めた。以上の結果から、グルコースモノミコール酸に対するメモリーT細胞応答が菌の制御に働く可能性が示され、抗結核脂質ワクチンの最有力候補のひとつであると結論づけた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

アカゲザルを用いた免疫研究を、予定通り順調に進めることができた。今年度はとくに、それまで明らかでなかった組織応答に着目し、グルコースモノミコール酸接種による免疫応答の詳細な解析を行った。その結果、グルコースモノミコール酸に対する組織応答が、結核菌制御に重要なTh1応答、マクロファージ応答ならびに殺菌物質の発現誘導を伴うものであることを初めて実証した。これらの結果を国際誌に発表した。またグルコースモノミコール酸を用いた人為的免疫誘導について、アジュバントとしてトレハロースジミコール酸を使用するのがよいとのプレリミナリーな結果を得ていたので、解析頭数を増やした結果、有意差はないもののその傾向を確認した。当初の予定にはなかったが、発展的にモルモットを用いた解析をアカゲザル解析と並行して行った。その結果、グリセロールモノミコール酸接種がモルモットに結核防御免疫を賦与することが示され、本研究推進の基盤的知見を再確認した。

Strategy for Future Research Activity

モルモットで得られた知見ならびにアカゲザルで示した組織応答結果をもとに、グルコースモノミコール酸のワクチン効果を直接的にアカゲザルで実証する。具体的には、アジュバントとともにリポソームに組み込んだグルコースモノミコール酸をアカゲザル皮膚に接種し、抗原特異的T細胞の存在を、抗原をロードしたサルCD1テトラマーおよびインターフェロンガンマエリスポット法を用いて経時的にモニターする。さらにCD1テトラマー陽性細胞について多重染色フローサイトメトリーを施行し、これらの細胞群が発現するT細胞表面マーカーおよびTh1型を中心としたサイトカインプロファイルを決定する。加えて、結核菌制御に重要な殺菌物質と考えられるグラニュリシンの産生について検討する。一方、将来のヒトへの応用を鑑み、ワクチン接種による顕著な副作用の有無を、各臓器レベルで組織学的に、また血清生化学的に判定する。これまでに本研究推進の基盤は確立できており、順調な研究展開が期待できる。さらにこの取り組みの直接的発展として、病原性結核菌感染アカゲザルを用いたワクチン効果の検証に必要な準備と対策を行い、実践する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

利用可能な動物飼育スペースの関係で、平成25年度計画していた動物実験の一部を平成26年度に順延したこと等の理由のため。
計画しているアカゲザルおよび補助的に行うモルモットの実験を計画通りに推進する。

Research Products

(2 results)

All 2013 Other

All Journal Article Remarks

  • [Journal Article] Th1-skewed tissue responses to a mycolyl glycolipid in mycobacteria-infected rhesus macaques.2013

    • Author(s)
      Morita D, Miyamoto A, Hattori Y, Komori T, Nakamura T, Igarashi T, Harashima H, Sugita M.
    • Journal Title

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      Volume: 441 Pages: 108-113

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.10.021

    • Peer Reviewed
  • [Remarks] 京大ウイルス研・杉田研究室

    • URL

      http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/Lab/SugitaLab.html

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi