2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的ペルオキシソーム機能解析による神経・代謝性疾患の病態解明
Project/Area Number |
24390261
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
下澤 伸行 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 教授 (00240797)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ペルオキシソーム / 網羅的解析 / 脂肪酸代謝異常 / 発生異常 / 脱髄 / iPS細胞 / モデル生物 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
平成25年度の成果として、 ① LC/MS/MSを加えたペルオキシソーム病の網羅的診断システムでは、新たにプリスタン酸の測定を可能にするとともに、平成25年の1年間にZellweger症候群1例、乳児型Refsum病1例、副腎白質ジストロフィー(ALD) のうち、小児大脳型5例、思春期大脳型1例、成人大脳型2例、AMN 3例、小脳脳幹型1例、アジソン病1例、女性保因者11例、発症前患者3例を遺伝子も含めて診断した。 ② ペルオキシソーム代謝異常症における発生異常の病態解明は、(1) ペルオキシソーム形成異常症患者の線維芽細胞よりiPS細胞を樹立し、アレイCGHによる精度確認、マウス精巣への移植によるテラトーマ作成による多能性の確認を終了し、現在、神経幹細胞への分化を進めてり、最終年度には神経細胞、グリア細胞に分化させ、神経発生異常の病態解明を進める。(2) ゼブラフィッシュを用いて、ペルオキシソーム形成異常症の病因であるPEX遺伝子をTALENによりノックアウトして、現在、ヘテロ変異体の作成まで進めており、最終年度には個体レベルでのペルオキシソーム代謝系の障害による発生異常の病態解明を進める。 脂肪酸代謝を含めたペルオキシソーム代謝と病態との関係は、未だ発展途上であり、次年度以降に向けて、単一遺伝子病である先天代謝異常症の解明を通して、生活習慣病や神経疾患も対象にした広い意味での代謝病におけるペルオキシソームの関わりを明らかにしていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LC/MS/MSによるペルオキシソーム代謝産物の解析法では新たにプリスタン酸の解析を確立し、より精度の高い診断スクリーニングが可能になった。ペルオキシソーム形成異常症の発生異常の解明でも患者よりiPS細胞を樹立から神経間細胞経の分化、さらにゼブラフィッシュを用いてTALENによるペルオキシソーム形成異常症モデルフィッシュでもヘテロ変異体まで作成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ペルオキシソーム病の診断については新たにLC/MS解析により確立したプリスタン酸などの代謝産物スクリーニングにより、さらに新たなペルオキシソーム病の探索、病態解明、治療法の開発を進める。患者iPS細胞およびモデルフィッシュを用いた病態解明についても、既に研究期間内での完成の目処はついており、網羅的解析等により、発生過程における病態解明から治療法の開発へと進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の効率的な運用と、旅費については成果発表を招待講演にて行ったため。 研究成果の展開が見込まれるため、更なる発展研究を計画し、執行する予定である。
|
Research Products
(8 results)