2012 Fiscal Year Annual Research Report
新たな視点でのウイルス性下痢症の診断、病態、分子疫学、ワクチンを含む予防等の研究
Project/Area Number |
24390266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
牛島 廣治 日本大学, 医学部, 客員教授 (10091068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / 胃腸炎 / 分子疫学 / 診断 / ワクチン |
Research Abstract |
1.サポウイルスGIのウイルス様中空粒子(VLP)は有するがGII,GIVはないのでそのVLP作製を試みて僅かのVLPはできた。2.開発したロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスのTriple detection kitを使用した。ロタウイルス、ノロウイルスに関してはPCRと良い特異性を見た。アデノウイルスに関しては検体数が少なく今後も検討する。3.下痢症ウイルスについて2011~2013年、731便検体で検討した。63%が陽性で、その中でノロウイルスが40%、ロタウイルスが10%、ヒトボカウイルスが10%、パレコウイルスが8%、エンテロウイルスが7%、アストロウイルスが5%、サポウイルスが4%、サフォルドウイルスが1%であった。ノロウイルスはGII/4が優勢で、特に2012年晩期では2012変異型が多く見られた。P2領域の4つのアミノ酸の置換が見られた。ロタウイルスはGIP[8]が54%、G3P[8]が36%、それ以外にG9P[8]が3%、G3+G9P[8]が3%、G3P[4]が2%、G1+G3P[4]が1%検出された。4.ノロウイルスVLPは腸管細胞表面に結合した。あらかじめ抗体とVLPを結合させると細胞へのVLP結合をブロックした。THP-1、U937細胞などでも同様な結合があった。生ウイルスを使用してもウイルスの侵入はあるが複製は認められなかった。5.ノロウイルスワクチンの開発のためGII/4VLPをマウスに経口あるいは皮下注射した。前者では糞便中の特異IgA抗体の上昇、後者では特異IgG抗体の上昇を見た。乳酸菌その他のアジュバント効果は認めなかった。またこの抗体は他のGI/1,GII/2,GII/3およびGII/6VLPに対しても交差免疫を見とめた。特異細胞性免疫の増強も見た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノロウイルスワクチンに向けての研究が進んだ。新たなノロウイルスGII/4の2012 variantについての解析が進んだ。実績の概要では書ききれなかったノロウイルスの消毒薬の評価、ノロウイルス診断薬の 非特異反応を少なくする方法の改良が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
サポウイルスGII.GIVのVLPについてはサポウイルスの糞便からの陽性例が少ないことから今後、新しく行うにも難しいが、来年度最後として試みる。そしてサポウイルスを広く検出するキットを作製する。 ノロウイルスのワクチンの動物実験を進めるとともに、ロタウイルスワクチンとのコンビネーションワクチンの動物実験を試みる。日本の下痢症ウイルスの分子疫学はこのまま続ける。
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