2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES細胞を用いた胎児期における自然免疫の発生と発症の解析
Project/Area Number |
24390272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 慎史 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (90349473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50179991)
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40302608)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胎児医学 / ES細胞 / 自然免疫 |
Research Abstract |
本年度は、主にヒト胎性幹(ES : embryonic stem)細胞から肥満細胞、好酸球、好塩基球の発達について解析した。 1.結合組織型TC型肥満細胞と粘膜型T型肥満細胞の発達 マウス胎仔AGM(aorta-gonad-mesonephros)領域由来ストローマ細胞との2週間の共培養によりヒトES細胞から分化誘導されたCD34+細胞から、我々が開発した3ステップ法により肥満細胞を分化誘導したところ1、ほとんどがトリプテースとカイメースの両方を発現する結合組織型肥満細胞であった。一方、分化誘導されたCD34+細胞を血液細胞コロニー形成法で2週間培養して形成された多能性造血前駆細胞から分化誘導された肥満細胞は、ほとんどがトリプテースのみを発現し、カイメースを発現していない粘膜型肥満細胞であった。 以上の結果より、胎児期の初期においては、まず結合組織型TC型肥満細胞が発生し、粘膜型T型肥満細胞は、造血系の発達に伴い発生すると推測された。 2.好酸球と好塩基球の発達 上記と同様の方法で分化誘導されたCD34+細胞をIL-3存在下で液体培養すると、培養1週問目ぐらいまでは、培養される細胞は好酸球と好塩基球の両者の形質を有しているが、その後好酸球の形質のみを有する細胞と、好塩基球の形質のみを有する細胞が出現する。その後、好塩基球の形質を有する細胞は約1週間程度で消失し、最終的には好酸球のみが培養される。 以上の結果は、好酸球と好塩基球は共通の前駆細胞を起源としている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように、胎児期の肥満細胞、好酸球、好塩基球の発達については、かなり解明が進んだ。また、マクロファージ、好中球、樹状細胞、NK細胞については、ヒトES細胞からの安定的分化誘導法が確立されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児期の肥満細胞、好酸球、好塩基球の発達については、さらにより詳細な解析を行う。マクロファージ、好中球、樹状細胞、NK細胞については、ヒトES細胞からの至適分化誘導法を確立して、その胎児期における発達を解明する。
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