2012 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線のDNA損傷メカニズムと腫瘍免疫賦活効果を応用した新たながん治療法の研究
Project/Area Number |
24390287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榮 武二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60162278)
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
盛武 敬 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50450432)
橋本 孝之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60400678)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / 陽子線 / DNAクラスター損傷 / DNA塩基損傷 / DNA二本鎖切断 |
Research Abstract |
1)陽子線とX線による塩基損傷とDNA二本鎖切断の評価:DNA溶液とヒト白血病細胞株MOLT4を対象として、155K6V陽子線のプラトー部分、Bragg peak近傍、および200kVX線の照射により生じる塩基損傷とDNA二本鎖切断を比較検討した。その結果、塩基損傷は、X線>陽子線プラトー>陽子線ピークの順となり、二本鎖切断は陽子線ブラトー>X線で、それぞれ有意差を認めた。陽子線の生物学的効果比は1.1とされているが、DAN損傷のメカニズムは異なることが示された。 2)腸子線とX線によるDNAクラスター損傷の解析:ヒト肉腫細胞株HT1080に対してX線と陽子線照射後にhOGG1, XRCC1, 53BP1のフォーカスを可視化して、形成されるフォーカスの数と時間経過を検討するとともに、それらが重複する部位(クラスター損傷)を観察できるかどうかを検討した。その際、DNA一本鎖損傷を検出するXRCC1のフォーカスを観察することが困難であることから、EGFP-XRCC1を組み込んだブラスミッドをHT1080へ導入した細胞(HT1080 EGFP-XRCC1)を作製した。DNA塩差損傷を検出するhOGG1と二本鎖切断を検出する53BP1は免疫組織化学的にフォーカスを観察した。共焦点顕微鏡の条件設定を行った後に、HT1080EGFP-XRCC1に対して200MeV陽子線と130kVのX線を2Gy照射した。その結果、hOGG1、XRCC1のフォーカスの数はほぼ同様であったが、53BP1フォーカスはX線に比べて陽子線で多く観察された。また、照射後24時間で観察したクラスター損傷の数は現時点ではほぼ同程度であった。 3)放射線照射による腫瘍免疫賦活効果の検討:マウスglioma細胞GL261へkusabira-orange蛍光発現プラスミッドを導入し、長期間継代後も安定して蛍光を発するクローン(GL261-OR)を樹立した。次に同系C57BI/6マウスの大腿皮下と頭蓋内に作製したGL261-ORを移植した。そして移植腫瘍の蛍光量を、蛍光検出装置(ms)を用いて体外から測定し、蛍光量と実際の腫瘍の体積が相関することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAクラスター損傷を共焦点顕微鏡で可視化するための条件設定などが達成された。既に陽子線とX線照射を行い、比較検討を行っている。ただし、今年度では抗がん剤との併用効果の検討を行うことはできなかった。 一方、腫瘍免疫賦活効果を見るためのマウス皮下および脳腫瘍モデルの作製と、移植腫瘍の定重的解析を行うシステムが今年度完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)上記のHT1080細胞に陽子線及びX線を照射し、引き続き同様の解析を行う。また、抗がん剤との併用によりこれらのフォーカスの重的、質的変化を検討する。また、当初の予定には入れていないが、炭素線の照射も検討している。2)マウス皮下及び脳腫瘍モデルを用いて腫瘍にX線照射を行い、アブスコパル効果の有無を検討する。さらに新規免疫アジュバントでその効果が増強されるか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養用器具・試薬、各種抗体、マウス及びその飼育管理、共焦点顕微鏡、蛍光イメージング装置、フローサイトメータなどの装置使用料、ウェスタンブロット用器具・試薬、プラスミッド調製用器具・試薬など
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Research Products
(10 results)