2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモダリティ分子イメージングを目的とする自己組織化ナノデバイスの開発
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24390294
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
向 高弘 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30284706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 均 長崎大学, 大学病院, 教授 (00170689)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬学 / 放射線 / イメージング / ナノバイオ |
Research Abstract |
ナノ粒子は、EPR効果により炎症部位や腫瘍部位に集積しやすい性質がある。昨年度、ポリアミドアミンデンドリマー(G4)にDTPA を導入したものを核とし、カチオン性高分子polyethyleneimine (PEI) とアニオン性高分子γ-polyglutamic acid (PGA) とを自己組織化させたIn-111複合体によるセンチネルリンパ節の核医学イメージングに成功している。そこで本年度は、生体内で標的分子特異的な蛍光を発生させることで高精度な分子イメージングを目指し、蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET) に基づいた蛍光剤・消光剤結合PGA複合体の作製を試みた。 蛍光剤である5-(6)-carboxytetramethylrhodamine succinimidyl ester (TAMRA)をポリアミドアミンデンドリマー(G4)に反応させた後、DTPAを反応させることでG4-TAMRA-DTPAを得た。また、消光剤であるQSY7をPEIと反応させPEI-QSY7を得た。そして、G4-TAMRA-DTPAを核とし、PEI-QSY7、さらにPGAとで自己組織化させ、G4-TAMRA-DTPA/PEI-QSY7/PGA (QSY7複合体) を得た。 得られたQSY7複合体の蛍光強度は、消光剤の結合していないG4-TAMRA-DTPA/PEI/PGA複合体と比べて低い値であったことから、FRETによる消光効果が現れたと考えられた。そこで、QSY7複合体を用いた細胞集積性を評価した結果、細胞に添加後数時間で細胞内にて蛍光シグナルが認められた。これは消光剤でOFF状態であった蛍光が、細胞集積後、複合体が分解するとONとなり蛍光が観察されたと考えられる。さらに、マウスにおける蛍光イメージングの結果、QSY7複合体によりリンパ節の検出可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に開発した、ポリアミドアミンデンドリマー(G4)にDTPA を導入したG4-DTPAを核とし、カチオン性高分子polyethyleneimine (PEI) とアニオン性高分子γ-polyglutamic acid (PGA) とを自己組織化させたIn-111複合体を基にし、本年度は蛍光剤である5-(6)-carboxytetramethylrhodamine succinimidyl ester (TAMRA)を核であるG4-DTPAに導入、また、消光剤であるQSY7をPEIに導入させることにより、蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET) に基づいた蛍光剤・消光剤結合PGA複合体を作製した。本複合体はマクロファージ様細胞に取り込まれたのち、消光状態であった蛍光がON状態となり蛍光強度の上昇が認められた。したがってこの手法により、分子イメージング用自己組織化ナノデバイスに蛍光シグナルのactivatable機構を導入することが可能となった。また本複合体は核粒子にキレート構造であるDTPAを有していることから、In-111などの放射性金属核種で標識することが可能と考えられ、マルチモダリティ分子イメージングへの応用が期待される。なおこれらの成果については、第63回日本薬学会近畿支部大会にて報告し、発表した研究室所属学生が優秀ポスター賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に見出した、分子イメージング用自己組織化ナノ粒子について、マルチモダリティ分子イメージングプローブとしての有用性を精査するとともに、新たな機能を付与すべく、化学修飾、製剤修飾について検討する。また病態モデルにおける体内動態を検討し、病態機能診断への応用性について評価する。 ・蛍光および放射性核種で標識された自己組織化ナノ粒子を作製する。作製したナノ粒子の粒子径、表面電荷、DSC曲線など物理化学的性質を測定する。また、粒子からのプローブの漏出についても検討する。これらにより、マルチモダリティ分子イメージングに適した製剤を見出す。 ・PGAを含有するナノ粒子は、がん細胞やマクロファージに対して、何らかの機構により能動的に取り込まれることを示唆するデータを有している。このように、標的細胞に特異的な結合を示すポリアニオンをスクリーニングし、これらを構成成分とすることにより、ナノ粒子に新たな機能の付与を検討する。また化学的に標的分子認識部位を導入した自己組織化ナノ粒子についても検討を行う。 ・病態機能診断への応用性について評価するため、各種の病態モデルに分子イメージング用自己組織化ナノ粒子を投与し、その体内動態を検討する。 以上より、自己組織化ナノデバイスのマルチモダリティ分子イメージングプローブとしての有用性を総合的に評価する。
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Research Products
(2 results)