2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬物送達システムを活用した難治癌に対する診断治療一体型高線量内用療法の開発
Project/Area Number |
24390297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
梅田 泉 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, ユニット長 (40160791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 博史 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 分野長 (80218982)
吉野 孝之 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 外来病棟医長 (20469969)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / トランスレーショナルリサーチ / ナノパーティクル / 薬学 / 診断治療一体型内用療法 |
Research Abstract |
本年度は主に以下の2点について検討を進めた。 1)内用放射線治療を可能とする大量の核種をリポソームに封入する方法の検討 ^<90>Yのリポソームへの封入法として、脂溶性と水溶性の二種類の配位子を使い、リポソーム膜を介しての錯体交換反応(active loading)を検討した。種々の検討の結果、脂溶性配位子としてtoropolone、リボソーム内部に封入する水溶性配位子としてDOTAを用いることで、^<90>Yをリポソームに高率(>90%)に封入することに成功した。封入効率は反応温度、反応時間、リポソーム脂質濃度によっても影響を受け、60℃、30分の反応が必要であった。これにより内用放射線治療に必要な大量の^<90>Yをリポソームに封入することが可能になった。 2)肝臓や脾臓に非特異的に集積した放射性核種を能動的に排泄する系の構築 リポソームに封入する水溶性核種を検討することで、肝臓や脾臓(網内系)への非特異的集積の制御を試みた。^<111>Inを用いて検討を進めた。^<111>Inに対する配位子として、ニトリロ三酢酸(NTA)、DTPA、DOTAおよびethylenedicystein(EC)を用い、それぞれをリポソームに封入して^<111>Inをactive loadingで封入した。Sarcomal80担がんマウスを用いて、投与後の体内動態を観察した。NTA、DTPA、DOTAを配位子とした^<111>In封入リポソームでは放射活性は腫瘍の他、網内系にも集積し、長時間にわたって滞留した。一方、^<111>In-EC封入リポソームでは、放射活性は網内系にいったん集積するものの、急速に消失し、投与24時間後には、主な集積組織は腫瘍となった。これらの結果より、ECを用いれば、網内系に集積した放射性核種を能動的に排泄させることが可能になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績概要に記したように、24年度内に内用療法に必要な高濃度^<90>Y封入リボソームの調製、および網内系への非特異的な放射活性の集積の低減を可能にすることができた。研究目的達成に向けて、着実に前進できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実績第2項の網内系集積低減の機序を検討し、それを土台に、治療用核種である^<90>Yでも同様の効果を得られるような配位子の設計を行う。また、臨床応用を念頭において、種々の担がんモデルでの検討を始める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度当初は研究員を雇用しての実験を計画していたが、他の実験を先行させたため、予定していた実験は本年度の実施となった。その分本年度での雇用が必要となるため、主に人件費としての使用を予定する。
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Research Products
(7 results)