2014 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体1型の分子イメージング:ファーストインヒューマン研究
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24390298
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石渡 喜一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (50143037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 雅洋 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70322518)
坂田 宗之 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00403329)
石橋 賢士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50469962)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グルタミン酸受容体 / ポジトロンCT / 核医学 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会における認知症やパーキンソン症候群を初めとする様々な脳疾患の診断・病態解明、それらの治療評価法や治療薬の開発等の研究に、ポジトロン断層撮影法(PET)等による分子イメージングに大きな期待が集まっている。代謝型グルタミン酸受容体1型サブタイプ(mGluR1)を画像化する新規開発プローブ[11C]ITMMのファーストインヒューマン研究として、昨年度からは新規導入したPET/CT装置による計測を開始し、本年度まで以下の計測を実施した。 被曝線量評価:成年男女健常者で[11C]ITMM-PETのダイナミック全身計測を追加し(男6、女6)、昨年度予備的にPET装置で得た結果と比較し、同時に得られるCT画像により放射能集積の少ない臓器の同定が容易になったことから、精度の高い評価が可能になった(論文投稿中)。 mGluR1の性差及び加齢:若齢者(男8、女7)と高齢者(男14、女12)の男女4グループで、[11C]ITMM-PETの脳の90分間ダイナミック撮影を実施し、同時に経時的動脈採血及び血漿代謝物分析をして入力関数を得た。男性では[11C]ITMMの結合能が高齢者で有意に増加したが、女性では統計的有意差は認められなかった(男女全体では高齢で有意に増加)。また、若齢、高齢ともに性差は認められなかった。また、[11C]ITMM-PETの解析には参照領域法を適用できることが示された(Brain PET 2015等で発表予定、論文投稿準備中)。 脳神経疾患への応用:脊髄小脳変性症(男2、女5)では、Spinocerebellar ataxia type 6の一例では小脳で明瞭な [11C]ITMMの結合能の低下が認められ、かつMRIによる萎縮の程度を上回った(研究速報投稿中)。更に症例を追加してする。パーキンソン病(女2)及びアルツハイマー病(女1)の計測も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者の所属機関は2013年6月に新施設に移転した。その準備や移転、また、新規導入のサイクロトロンやPET薬剤合成装置及びPET-CT装置の調整や試験稼働があり、昨年まではやや遅れていたが、本年度鋭意研究の遂行につとめ、ITMM-PET計測数の遅れを挽回した。特に、本年度は予定していたパーキンソン病の研究に先行して、mGluR1の最も豊富な小脳の疾患として脊髄小脳変性症の研究を進めることができたため、ITMM-PETの診断上の有効性を明らかにする見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は脊髄小脳変性症、パーキンソン病及びアルツハイマー病の症例を追加して病態を明らかにして脳のmGluR1の病態生理学的研究を進め、[11C]ITMM-PETの診断ツールとしての有効性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ほぼ研究計画通り執行した。しかし、年度末に支払うMRI計測費用の見積額を多少余裕をもって確保していたため、若干の研究費を繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に請求した研究費は、計画通り執行する。H26年度からの繰越金は計画内の範囲である。
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Research Products
(2 results)