2012 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期静脈化メカニズムを応用した静脈グラフト治療の実験的研究
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24390299
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
武藤 紹士 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30600829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 秀人 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70179076)
下野 高嗣 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80206242)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 静脈グラフト / Eph-B4 / Cav-1 / シェアストレス / 新生内膜肥厚 |
Research Abstract |
本研究では、胎生期静脈決定因子Eph-B4による静脈グラフト壁肥厚の制御機構を解析し、静脈グラフト術後患者の長期予後改善に向けた新しい治療の方向性を模索している。これまでに我々はEph-B4の賦活化による静脈グラフト壁肥厚抑制効果や、シェアストレス感応タンパクCav-1との相互関係を証明してきたが、Eph-B4の詳細な分子機構については未だ不明な部分が多い。 当該年度においては、特にEph-B4の細胞内ドメインに関してMALDI-TOF法による質量解析を行い、チロシン残基におけるリン酸化部位の同定を行なってきた。その中で、Y774のリン酸化がEph-B4活性に決定的な働きをしている事が明らかとなった。同部位のリン酸化は下流シグナリングであるERK1/2やAktに影響を与え、加えてY774の点変異によりEph-B4とCav-1の共役関係も障害される事を証明した。この結果からシェアストレスが強く関与する静脈グラフト壁肥厚におけるEph-B4の分子機能においてY774のリン酸化が重要な役割を果たしていると考えている。 静脈グラフト壁肥厚は虚血性心疾患や重症虚血肢におけるバイパス術、更には慢性腎不全患者の透析用シャントにおける血流不全の原因として重要な病的組織変成である。その中で、これまでに我々はEph-B4は静脈組織特異的なメカニズムを持った壁肥厚抑制因子である事を解明し、将来的に非常に有望な治療標的分子となり得る事を提唱してきた。本研究における結果を応用することにより、静脈組織選択性の高い治療が可能になると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MALDI-TOFを用いたキナーゼドメインのリン酸化部位同定については予定通り完了し、アミノ酸配列に基づいた予測にほぼ一致する結果を得た。中大動物へのアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入については、当施設での今後の安全性確保が困難となったため、方針を変更してElectroporation法によるpcDNA導入を行なう準備を進めている。計画を変更した部分としてプラスミドベクターのサイズダウンを行い、現在までに良好な導入効率と発現効果を確認している。またY774点変異型Eph-B4の作成も完了しており、全体として研究計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、点変異型Eph-B4をmlK293及びCOS7細胞に導入し、リガンド刺激による下流シグナリングへの影響を観察する。中大動物へのアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入については、当施設での今後の安全性確保が困難となったため、方針を変更してElectroporation法によるpcDNA導入を行なう準備を進めている。イヌ伏在静脈グラフトを用いた大腿一膝窩動脈モデルを用いてex vivo遺伝子導入を行い、病理学的な評価を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記推進方策で述べたように、アデノウイルスベクターの使用に問題が生じ計画変更を余儀なくされたため、当該年度に未使用の予算が生じた。しかし今後の方針をElcctroporation法によるpcDNA導入に変更したためスーパーエレクトロポレーター(NEPA21/NepaGene社)を購入する必要があり、その予算とする方針である。その他については大きな変更なく当初の計画案通り研究を進める方針である。
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Research Products
(4 results)