2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390315
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノデリバリーシステム / 骨髄DTC / 腫瘍血管分化 / 微小転移 |
Research Abstract |
ミクロ的視点に関する結果 ①微小転移研究:大腸癌微小リンパ節転移に関する多施設前向き臨床研究の結果を解析した結果、微小転移の量に応じてStage II大腸癌の再発率が増加することが分かった。この結果をまとめJAMAに投稿した。学内の倫理委員会で承認され再発補助診断として運用を開始した。当初の目的のひとつは達成した。②OSNA法を用いた大腸癌リンパ節転移診断の多施設研究に参加した。Up Staging率についての報告論文を筆頭著者として作成中である。 ③転移遺伝子C4.4Aの4種類の抗体を作成しGPIアンカー型の抗体が有用であることを論文化した。食道癌のC4.4A発現について膜型が予後不良と関連することを報告した。そのメカニズムとしてはTNC(Tenascin-C)との連携が重要であることを論文化した。消化器癌発生学会主導の独立した検証試験(n=230)を実施した結果、Stage III大腸癌の再発予測因子として有用であることが確認され筆頭著者とあいて論文にまとめている。再発補助診断薬として安定した良質のモノクローナル抗体を作成するprojectを開始した。④低酸素誘導遺伝子JMJD1AがヒストンH3リジン9基の脱メチル化を通じてEMT誘導因子を発現させることを明らかとし論文作成中である。⑤炭酸アパタイト法を改良したsuper apatite法によって、ヌードマウスに移植した大腸癌腫瘍をsurvivin siRNAの尾静脈投与により縮小させることに成功した。本法で国内特許を取得した。論文投稿中である。また同システムはliving imagingにも応用可能であることが明らかとなり、国内特許を出願した。⑥ヌードマウスに腫瘍を形成させる際に、Ang2が腫瘍血管の内腔形成に重要であること、VEGFとAng2の両方の阻害による抗血管療法の有効性について論文化した。⑦KRAS 変異型の大腸がんに効くmicroRNA A, Bを同定、国内特許出願した。⑧アポトーシスを強力に誘発する治療的microRNA MIRTX を開発、国内特許出願した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各パート 論文化、特許出願、特許取得まで順調に成果をあげている。期間内の目的として早期に微小転移診断とC4.4Aによる再発診断を、5年後を目処に炭酸アパタイト法による遺伝子治療をあげたが、この内、リンパ節転移陰性大腸癌のリンパ節中の微小転移をCEAに対するRT-PCR法で検出して再発診断を行う研究はすでに学内で実施の体制となった。7年以上の経過観察期間を経て、Stage II大腸癌の予後を前向きに検討したところ、微小転移量に応じて再発率が上昇してくるといった非常にわかりやすい結果が得られた。C4.4Aによる再発診断については、さらに論文を産生しているが、臨床診断のためには質のよい安定したモノクローナル抗体が必須である。この点に関してはオールジャパンで厚生労働省のprojectに提出しており今後の展開が期待される。炭酸アパタイト法は、静脈注射後90分で核酸が細胞内のライソゾームで処理される前に癌細胞内に十分量の核酸医薬を送り込む事のできる画期的なシステムである。一方で正常組織への取り込みは僅かであり固形腫瘍の核酸医薬の市場の中心的役割を果たす可能性が期待されている。国内特許は取得し米国での特許申請を終えている。マウスでの5倍、10倍量の投与試験や、カニクイザルでの2分の1量投与は安全であることが確認された。現在、凍結乾燥法による薬剤としての保存性や、10nm粒子の精製、大容量作成の方法など実用化に向けたtranslationalな部分についての検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の炭酸アパタイト法の開発を進める。 ・ KRAS変異型大腸癌に効くmicroRNA XはKRASの3’UTR領域とAKT分子のcoding regionに直接結合し増殖抑制とアポトーシス亢進を通じて癌細胞を著しく抑制することが明らかとなった。KRAS変異細胞株やBRAF変異細胞株ではmicroRNA Xは発現抑制状態にあり、また大腸癌組織サンプルでも正常よりも癌で低下、癌の中ではKRAS wild型よりもKRAS mutant型で発現低下しており、KRAS/BRAF変異大腸癌は自己にとって不都合なmicroRNA Xを抑制するメカニズムを備えているようである。外来性にmiRNA Xを投与するとこのバランスが崩れ、癌細胞は一気に死滅する。国内特許を申請した上で欧米のBioTech市場に出品したところmicroRNA医薬の最高峰企業より開示要請があり今後臨床応用の可能性を検討する。 ・ 概ね研究は進んだがひとつだけ人手不足で停滞した部分があり、2014年度はこれを完成させる。すなわち手術材料から得られる活性化線維芽細胞の一部は癌細胞から発生するという仮説(癌関連線維芽細胞(CAF)の癌細胞起源説)を証明する作業を行う。すなわち、ある種の分化誘導刺激により臨床検体から採取した大腸癌のsphere(スフェロイド)から腸上皮の性質を保持したまま(CDX2+)多数の線維芽細胞を生じさせ、この線維芽細胞をマウス皮下に局注すると上皮性の腫瘍が形成され、これを培養すると再びsphereを形成するという実験系を完成させる。未だ症例数が少ないのである程度症例がまとまった時点で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に必要な物品を全て購入したため。 来年度に必要な物品を購入するため。
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Research Products
(12 results)