2013 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境の制御を目指す抗YBー1 miRNA/デコイ発現による難治癌治療
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24390322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 光男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
片岡 一則 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00130245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | YB-1 / miRNA / デコイ / 癌微小環境 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究の達成目標は「癌間質を制御する事で難治性固形癌にも有効性が期待できる”抗YB-1miRNA/デコイ発現遺伝子治療”を開発し、臨床研究に向けた基盤を整えること」である。 平成24年度には、1)抗YB-1miRNA治療遺伝子やYB-1デコイ遺伝子を構築し、in vitro実験でYB-1のノックダウンを確認した後に、in vivoにおける治療実験の準備を整えた。2)癌微小環境におけるYB-1の癌悪性化に関する生物学的意義をRNA干渉(siRNA)手法を用いて解析した。始めに、血管内皮細胞を用いた解析により、YB-1は増殖能、管腔形成能の亢進に関与する事が明らかと成った。 平成25年度には、1)抗YB-1 miRNA/デコイ遺伝子を高分子ミセルに搭載し、ヌードマウス膵癌腹膜播種モデルに投与し、その治療効果を検討した。少ない検討数 (n=8) における播種進展に関する定量化をIVIS imagingにて行い、有意差には至らないものの、一定の治療効果を有することが認められた。現在、miRNAの細胞質への移行を促進するexportin 5 (Xpo-5)やmiRNA-RISC複合体の活性を高めるとされ、一部の癌で低下が報告されているargonaute 2 (Ago-2)を同時に発現させる治療遺伝子の併用を検討している。2)YB-1の血管内皮に及ぼす影響としては、①G2/M静止を主とする細胞周期抑制、②アポトーシスの誘導、③管腔形成の阻害がYB-1 siRNA導入で認められ、膵癌/胆道癌の癌間質に新生血管とYB-1の共局在がみとめられ、血管新生の促進に寄与している事が明らかとなった。また、膵癌組織においてマクロファージの浸潤が明らかに認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療遺伝子とデリバリーシステムの構築とYB-1の血管内皮に対する分子生物学的解析に関しては目標を達成した。さらに、腹膜播種モデルにおける遺伝子治療実験も、有意差こそ得られなかったが、予定通り実験を達成した。そのため、YB-1と多剤耐性や放射線傷害修復との関連に関する検討は、今後の研究の推進方策に記載した抗YB-1分泌型miRNA/デコイ遺伝子治療とAgo2/Xpo5遺伝子治療の併用実験を終えてから検証する方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮に加えて、YB-1のマクロファージの悪性化に関連する生物学的意義を検討する。 血管内皮に及ぼす影響に関して、癌間質の血管内皮特異的な現象か否か、マウス腫瘍から単離した血管内皮を用いて検討する。 Xpo-5)やAgo-2を同時に発現させるプラスミドは構築を終えた。今後、マウス腹膜播種モデルでまずは、抗YB-1分泌型miRNA/デコイ遺伝子治療との併用による抗腫瘍効果を検討する。併用治療で有意な抗腫瘍効果が得られず、遺伝子導入効率がその要因である場合は、遺伝子ではなく、核酸薬を用いた治療の検討を行う。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Notch4 is a potential therapeutic target for triple-negative breast cancer.2014
Author(s)
Nagamatsu I, Onishi H, Matsushita S, Kubo M, Kai M, Imaizumi A, Nakano K, Hattori M, Oda Y, Tanaka M, Katano M.
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Journal Title
Anticancer Res
Volume: 34
Pages: 69-80.
Peer Reviewed
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