2013 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞由来心筋シートによる心機能改善機序の解明および心不全治療創薬への応用
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24390327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 隆造 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20325781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40281092)
山下 潤 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50335288)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心不全治療 / 多能性幹細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
研究の目的:心臓組織シート移植における、治療効果メカニズムの解析 研究内容:ラット心筋梗塞モデルに対し、マウスES由来心臓組織シート移植治療の系を用いて、治療メカニズムの検討してきた。ヌードラットを心筋含有シート治療群と心筋を除いた内皮・血管壁細胞シート移植群、非治療(sham手術)群の3群に分類し移植、またはsham手術を行った。心筋細胞含有シート移植群において、心機能や血管新生の著名な改善を認めた。ヒトiPS細胞においても、心血管系細胞をまとめて分化誘導し心臓組織シートを作成・移植することで心機能が改善することも示した。さらに、ヒトiPS細胞由来高純度心筋、内皮、血管壁細胞を個別に分化誘導する方法も確立した。これにより、ヒトiPS細胞由来心臓組織シートにおいても、細胞種ごとに効果やメカニズム解析を行うことが可能となった。 また、マウスES由来心臓組織シート移植後に、心臓組織に対する網羅的解析を行うことで、複数の治療効果に関連する候補遺伝子を得た。これをコードするタンパク質発現の検討を行い候補転写産物を選定した。これを梗塞モデルに対して投与実験を行う。心臓組織標本における遺伝子発現を検討し、対象となる候補転写産物と内在性心筋幹細胞との関係性を明らかにする。さらに、候補遺伝子操作ES細胞による欠損修復実験を行い、メカニズムの解析につなげる。 意義・重要性:本邦で主要死因のひとつである心不全に対して近年、多能性幹細胞を用いた移植治療の研究が行れているが、低生着率等の大きな課題がある。一方、障害心筋の再生修復において重要な役割を有する、内在する心筋幹細胞に注目が集まっており、本研究では、内在性心筋幹細胞による心臓再生能力を高める因子や経路を解明、臨床応用することをその目的とするが、本年度研究成果としては心不全治療創薬の候補転写産物の新たなスクリーニング系の確立と候補を選定をし得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子を欠失させたノックアウトマウス胚性幹細胞および遺伝子を過剰発現させたマウス胚性幹細胞の作成に時間を要しているものの、現在主流となっているヒトiPS細胞由来の心臓組織シートにおけるスクリーニング系を確立できた。また、ヒトiPS細胞においても応用可能なCRISPR/Cas9を用いた、同一細胞で遺伝子欠損、救済が実験可能な細胞の確立に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
候補化合物のラット心筋梗塞モデルへの投与実験を可及的速やかに進める。また遺伝子を欠失させたノックアウトマウス胚性幹細胞および遺伝子を過剰発現させたマウス胚性幹細胞を作成し、機能改善機序の解明を行う。同様のスクリーニング及び候補遺伝子、候補転写産物の選定から、遺伝子欠損、救済細胞による機能解明をヒトiPS由来シートにおいても行う。
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