2013 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨変性破壊の共有パスウェイを標的とした分子治療の開発
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24390350
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 友厚 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (80167379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 善治 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00262527)
関 庄二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00432112)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨 / 椎間板 / 転写阻害 |
Research Abstract |
本研究では関節軟骨変性・椎間板変性の両病態の早期で共有するパスウェイの関連分子のなかで、軟骨catabolismに関る上流の分子としてc-fos/AP-1を選び出し、これの阻害効果をin vitro、続いてin vivoで解析してきた。作成した変形性関節症(OA)モデルマウスに対する特異的阻害薬の経口投与による効果を、引き続き検証した。形態学的検討では、さらに長期の24週時点においても、AP-1阻害薬投与群ではOA進行がほぼ完全に抑制されていた。コントロール群では軟骨変性が徐々に進行し、アグリカンの消失、II型コラーゲン染色性の低下、X型コラーゲン発現などを認めるのに対して、特異的阻害薬投与群では、関節軟骨は形態ならびにマトリックス成分を維持していた。その間の軟骨下骨代謝には影響は認められなかった。これらの結果は、先のin vitroでの軟骨細胞に対する結果と合わせて、AP-1阻害によりMMP-13発現抑制を中心にADAMTS-5発現なども軽度抑制され、軟骨組織における高い特異性でcatabolismが顕著に阻止され、一方では穏やかな軟骨anabolism促進が認められることを示しており、AP-1阻害薬がOAの構造改善薬となりうる可能性を示すものである。 同時に椎間板変性(IVD)モデル動物の作成を開始し、これに対するc-fos/AP-1抑制効果検討の準備を行った。まずIVDモデルとしてラット尾椎椎間板の穿刺モデルの有用性を検討した。同一個体の尾椎の3椎間に穿刺を行い、椎間板変性の出現と再現性の検討を軟X線撮影とMRIにより行った。その結果、穿刺・半穿刺により程度の異なった椎間板変性が誘導できること、一匹のラットで3椎間の穿刺法(穿刺、半穿刺、無穿刺)を行うモデルが有用なこと、本モデルでの変性の再現性が高いことが、明らかとなった。そこでIVD誘導後2週目よりAP-1阻害薬投与を開始し、12-24週までの観察検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節症動物モデルの形態解析には時間を要したものの、引き続く椎間板変性モデル作成は予定より早く進行しており、総合的にはほぼ当初計画通り進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度はさらにラット椎間板変性モデルにおけるAP-1阻害効果の検討を、精力的に進める。導入した高機能の軟X線装置での解析に加えて、椎間板のT2mapping評価も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関節症動物モデルの形態解析の後、椎間板変性動物モデルの実験に着手でき、おおむね順調に研究が進んでいるが、関節症動物モデルの形態解析以外の血液生化学検査、各臓器の組織学的スクリーニング等これから行う解析も残っているため残額が生じた。 次年度に関節症動物モデルの血液生化学検査、各臓器の組織学的スクリーニング等の解析に使用する予定である。また椎間板変性動物モデルの形態解析にも使用する予定である。
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[Journal Article] Lumbar disc degeneration is linked to a carbohydrate sulfotransferase 3 variant.2013
Author(s)
You-Qiang Song, Tatsuki Karasugi, Kenneth M.C. Cheung, Kazuhiro Chiba, Daniel W.H. Ho, Atsushi Miyake, Patrick Y.P. Kao, Kit Ling Sze, Anita Yee, Atsushi Takahashi, Yoshiharu Kawaguchi, Yasuo Mikami, Morio Matsumoto, Daisuke Togawa, Masahiro Kanayama, Dongquan Shi, Jin Dai, Qing Jiang, Tomoatsu Kimura, et al.
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Journal Title
J Clin Invest.
Volume: 123
Pages: 4909-4917
DOI
Peer Reviewed
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