2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症を発症するRelA欠損キメラマウスを用いた骨リモデリングの分子機構解明
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24390362
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土井 貴裕 独立行政法人理化学研究所, 生体情報総合技術開発チーム, サブチームリーダー (60227684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 太郎 独立行政法人理化学研究所, 生体情報統合技術開発チーム, 特別研究員 (10565774)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | RelA / カップリング / 骨粗鬆症 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
骨代謝機構においては、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成が繰り返され、骨は生涯にわたり再構築される(骨リモデリング),しかしながら、破骨細胞と骨芽細胞との間の細胞間相互作用(カップリング)の分子メカニズムはまだ十分には解明されていない。転写因子RelAを欠損する骨髄キメラヤウスでは、著明な骨粗霧症が発症する。このキメラマウスは、骨髄由来の破骨細胞ではRelAが欠損し、宿主由来の骨芽細胞は正常である。よって、従来の仮説に基づけば、このマウスの病態はRelA欠損破骨細胞に起因するカップリング機構の異常が原因と言うことになる。本年度においては、RelA欠損破骨細胞からカップリング因子が放出されないという想定のもとに、RelA欠損破骨細胞と正常破骨細胞を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、破骨細胞から骨芽細胞へ作用するカップリング因子候補群を同定することを狙った。(1)Receptor Activated NF-kB Ligand(RANKL)とMacrophage Colony Stimulating Factor(MCSF)、(2)活性型ビタミン、のそれぞれの刺激の誘導系により破骨細胞を作成し、それぞれの破骨細胞から抽出したRNAを用いて、チップアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、Re-A欠損破骨細胞と正常破骨細胞において発現が異なる遺伝子群を抽出した。その一方でより詳細な組織学的解析を行った結果、当初RelA欠損キメラマウスにおいて発症する骨粗霧症の病態として骨芽細胞の過剰増殖を想定したが、正常マウスと優位の差を認めないことが判明した。更に、in vivoの骨形成能の解析ではRelA欠損キメラマウスにおいて骨形成が著名に低下しているのにも関わらず、破骨細胞(RelA欠損型)と骨芽細胞(正常型)の共培養によるin vitroでの骨形成実験では、正常型破骨細胞による骨形成と優位の差が見られないという結果を得た。従って申請者は、破骨細胞から骨芽細胞への直接的な骨形成のシグナリングを担うカップリング因子の存在に加えて、骨形成の機能を仲介する因子、細胞が生体内に存在することを想定して解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮説の基盤となる概念である「破骨細胞由来の骨理モデリング機構の成り立ち」に基づき、当初の実験計画に沿って粛々と解析を進めている。一方、従来の仮説にもとづいた当初の想定である破骨細胞のみの異常増殖が組織において見られないという想定外の結果が得られたため、新たなる仮説を立てて解析を進めている。このため、進捗状況については当初の予定より少しばかり遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の仮説に基づいた破骨細胞から放出されるカップリング因子の同定を、予定通り進めていく。併せて、従来の仮説にない第二の(さらには第三の)因子の存在を想定し、その同定を目指して実験を進めていく。最終的に、この両者による統合的な骨リモデリング機構の実態を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本計画の遂行において、マウスの使用数が予想より少ない匹数で実験が完了したため、消耗品等の経費が残ってしまった。このため、次年度においては当初の計画にあるカップリング因子の同定のための実験費用に加えて、今年度に同定したカップリングの候補遺伝子群についてそれぞれの遺伝子欠損マウスの解析を行うべく、(1)遺伝子欠損マウスの収集、(2)骨代謝の解析、のために執行残額を活用し、より精密な結果を求める。
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Research Products
(1 results)