2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳保護戦略におけるレミフェンタニルの効果およびそのメカニズム
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24390364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 寛治 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60302709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
今井 英明 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70359587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳保護 / 虚血再還流 / レミフェンタニル / 炎症 / 白血球 / 手術侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球の機能検査として、サイトカインである顆粒球マクロファージコロニー刺激因子に対する好中球の反応性を全血で検討する方法を開発したものを、標準化した内容を英文誌に投稿、採択、掲載された。またこの方法を用いたGM-CSF製剤の機能評価を他の動物種で行った結果も論文化され、英文誌に採択、掲載された。 前年度より継続してラットを用いた開頭手術モデルによる炎症反応の推移を確認した。昨年度モデルの改良を試み、中大脳動脈焼灼による脳梗塞作成モデルから、開頭、硬膜切開までを行う開頭ストレスモデルを作成した。その結果安定した結果が得られるようになった。コントロール群10匹、レミフェンタニル群9匹で比較した。術前の血液検査で、白血球数が10000/ul以上の、何らかの炎症が疑われる症例を除外し、コントロール群8匹、レミフェンタニル群8匹で解析を行った。麻酔終了後、覚醒~抜管に要する時間に群間で差は見られなかった。全個体生存し、全個体について神経学的問題も認められなかった。末梢血白血球数:コントロール群では、開頭手術開始30分後の白血球数が、5/8で上昇した一方、レミフェンタニル群では、6/7で低下した(Chi-square test, p<0.049)。また、術後1-2日では、コントロール群の白血球数(中央値、IQR)が、12650,9575-14675に対してレミフェンタニル群が10950, 9250-1180と低い傾向を認めた。術後6日以降では群間の差を認めなかった。 術直後、あるいは1-2日後の早期の炎症反応変化をレミフェンタニル使用により抑えている可能性が示唆された。パイロット研究では、好中球の細胞表面に発現している接着因子CD11bの発現量がレミフェンタニル群で早期に低下する結果が認められていたが、今回の結果では群間に有意な差は見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物モデルの確立に時間を要している。またラットの麻酔、カテーテル等の準備と手術にかける時間から、1日に行えるラットの数が1-2匹と限られており、飼育施設と手術施設の制限から、手術から観察期間まで完了するのに1週間に最大で2匹までの使用にとどまった。結果安定した系が立ち上がったと思われてからの実験個体数が20匹前後にとどまっている。また、炎症所見を抑制する原因物質(中間作用物質)の同定には引き続き試行錯誤が続いている。 観察的臨床研究では、開頭手術がほぼ全例レミフェンタニルを使用する状態となっており、後ろ向き解析での比較が難しくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット開頭モデルは、白血球数に差を生じている原因の究明を行うべく、血清中サイトカインを測定する。またいわゆるDAMPs(組織障害関連分子パターン)に属する物質の同定とその経時的変化も検討したい。細胞株の虚血再還流実験は、アストロサイトおよびミクログリア細胞の初代培養株を要事購入して行うこととした。低酸素培養環境が整いつつあり、年度内の施行が可能と考えている。
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Research Products
(2 results)