2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390365
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川真田 樹人 信州大学, 医学部, 教授 (90315523)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川股 知之 信州大学, 医学部, 准教授 (80336388)
田中 聡 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (60293510)
石田 高志 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (60531952)
杉山 由紀 信州大学, 医学部, 助教 (10468100)
杉山 大介 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (40467189)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 遷延性術後痛 / 急性術後痛 / 慢性痛化 / 脊髄後角 / 皮膚切開 / 筋傷害 |
Research Abstract |
SDラット足底部の皮膚切開モデル(以下、切開モデル)をBrennanらの方法(Brennan et al., Pain, 1996)に従い作製した。さらに足底部の皮膚切開と筋肉を液体窒素で損傷したモデルを作製した(以下、切開+筋傷害モデル)。これらの傷害モデルに対し、傷害後経時的に熱刺激に対する逃避潜時、機械刺激(von Freyフィラメント)に対する逃避閾値を測定記録した。また自発痛関連行動を反映するCumulative pain scoreも経時的に測定記録した。皮膚切開モデルも皮膚切開+筋傷害モデルともに、損傷後より自発痛関連行動と、熱刺激に対する逃避潜時や機械刺激に対する逃避閾値が低下し、熱性痛覚過敏と機械性痛覚過敏が観察された。しかし皮膚切開モデルの痛覚過敏が4日で回復したのに対し、皮膚切開+筋傷害モデルでは14日間持続した。また自発痛関連行動も、皮膚切開モデルでは2日で低下したのに対し、皮膚切開+筋傷害モデルでは10日間持続した。 組織学的検討では、皮膚切開モデルでは切開後10日目には皮下の細胞浸潤もほぼ消失していたが、皮膚切開+筋傷害モデルでは筋の萎縮と細胞浸潤が継続していることが示された。 皮膚切開モデルと皮膚切開+筋傷害モデルにおいて、ウレタン麻酔下で脊髄後角V-VI層から、WDR(wide-dynamic-range)ニューロンの単一活動を細胞外記録した。皮膚受容野を同定後、自発性活動を記録し、受容野中心に触、痛みなどの機械刺激を与え、ニューロンの応答を記録した。皮膚切開モデルでは、切開後2日目には自発活動が増加し、触・痛覚刺激に対する応答が増強していたが、7日目には自発活動も刺激に対する応答も、sham動物と同様の応答性に回復した。一方、皮膚切開+筋傷害モデルでは、損傷後、7日目にも自発活動と刺激に対する応答性が増強し、皮膚受容野面積も増大していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚切開+筋傷害によって、自発痛と痛覚過敏が皮膚切開より持続することが示され、神経障害ではなくとも、術後痛が遷延するモデルの作製に成功した。本モデルを傷害に検討することで、より多くの組織損傷に伴い術後痛が遷延するメカニズムの解明につながるものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)皮膚切開モデルと皮膚切開+筋傷害モデルにおける、組織に浸潤している炎症細胞の特徴や種類を調べ、痛みの遷延化と炎症/免疫細胞との関連性を検討する。特に、遷延性術後痛のメカニズムの一つとして、本モデルにおける免疫ー神経クロストークに関与する免疫細胞側の分子と末梢神経の受容体の関連について、特にNGFとTRPA1の点からの検討を行う。 (2)脊髄後角のc-fos発現ニューロンを経時的に測定し、痛みの遷延との関係を調べる。 (3)マウスにおいても同様のモデル作製を行い、(1)により末梢で関与している受容体ー特にNGFとTRPA1のノックアウトマウスを用いて、皮膚切開+筋傷害により痛み状態が遷延するかどうかを検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が進展し、必要消耗品が少なくて済んだため。 研究の進展のため、消耗品として、新たに免疫組織化学のために必要な抗体などの薬剤に当てる。
|
Research Products
(15 results)