2012 Fiscal Year Annual Research Report
器官培養法を用いたヒトin vitro精子形成法の開発
Project/Area Number |
24390371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小川 毅彦 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (50254222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精子形成 / 器官培養 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者らが開発したマウス精子形成用の器官培養法をヒト精巣にも応用できるようにすることである。そのために、以下のような研究計画の項目を設け、24年度に実行してきた。 1)器官培養に有効な培養液成分の解析とchemically defined化:現在用いている培養液にはKSR(あるいはAlbuMAX)という企業製品を用いており、その化学組成が明らかではない。これまでに、これらの製品を用いずに、化学組成が明らかな物質・試薬を用いてマウス精子形成の進行させることに部分的に成功している。とくに、ビタミンと脂質の重要性が明らかになりつつある。 2)成長マウスの精巣組織を用いた培養実験:未成熟マウス精巣のみならず、成長マウス精巣を用いても精子産生できることを確認した。 3)ラット精巣組織を用いたin vitro精子形成実験:ラット精巣を用いた実験では、マウスの場合のようには精子形成が進行しないことが明らかになってきた。培養液を調整して実験を継続している。また減数分裂時にGFPを発現するトランスジェニックラットを作成中であり、これにより実験を効率化できると期待している。 4)マーモセット精巣組織を用いたin vitro精子形成実験:5~6ヶ月齢のマーモセット精巣の組織片をマウスの場合と同様に培養して精子形成の進行を組織学的に観察している。現在のところ明らかな精子形成の誘導は認められない。引き続き、培養液の調整を行ってゆく予定である。 5)ヒト精巣組織を用いた培養実験:精巣腫瘍患者の手術検体を用いて、培養実験を行っている。 6)不妊モデルマウスを用いた精子形成不全のin vitro治療の試み:遺伝的に精子形成不全を示すSl/Sl^dマウスを対象として、その精子形成不全を培養下で治療する試みを行った。このマウスが欠損しているKitLを培養液に添加することにより、精子形成が誘導され、さらにCSF-1を追加することで精子産生を確認した。産生された半数体細胞を用いて顕微授精を行い、産仔を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト精巣組織の性質が、マウスとはかなり異なることが明らかになり、マウスの方法はそのままではヒトには応用できないことが明らかになってきた。その意味では、研究は予定どおりに進行することは難しいと思われる。しかし、マウスの実験においては、器官培養法の利点が示されるデータを得ており、予想外に進展した部分も大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究方法と方向性は間違っていないと思うので、これまでの方針どおり、培養液の最適化を目指して研究を推進つる。実際、確実に知見を積み上げていると思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マーモセット精巣組織の供給が予定よりも少なかったこととヒトの精巣組織の手術検体が少なかったこと等により培養実験の進行が予定よりも遅れたため、試薬購入を延期した。次年度に、その分の培養実験を遂行するために、試薬購入費として使用する。
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