2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍体積と導入化学療法に基づく下咽頭癌の個別化治療 -その予後因子の網羅的検索-
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24390387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猪原 秀典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00273657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90163948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍体積 / 下咽頭癌 / 個別化治療 / 予後因子 / 網羅的検索 |
Research Abstract |
我々は切除可能な下咽頭進行癌に対して喉頭温存を目指して化学放射線療法を施行した場合、原発巣のFDG PET/CTで測るmetabolic tumor volume (MTV)が極めて有用な予後因子であることを明らかにした。本研究では、切除可能下咽頭進行癌を原発巣MTVに基づいて予後不良な高MTV群と予後良好な低MTV群に階層化し、更にそれぞれの群における予後因子を網羅的タンパク解析を行うことにより同定することを目指している。 手術摘出した下咽頭癌原発巣(F0)を免疫不全マウスに移植しxenograft (F1)を作成し、F0とF1間で発現が異なる遺伝子・タンパクを網羅的に解析した。これはF1が成立するためには低酸素などの過酷な環境下での生着・増殖が必要であることから、F0-F1間で発現が変化する因子は治療抵抗性に関与している、即ち予後不良因子であるという仮説に基づくものである。実際、F0-F1間では遺伝子発現パターンが大きく変化するが、F1-F2間では遺伝子発現パターンの変動は認められない。F0-F1の3ペアにおける解析を終了し、一連の候補因子を同定した。今後は同定された候補因子についての検証実験を行う予定である。 一方、下咽頭進行癌を手術加療した場合、MTVが予後因子として有用か否かは明らかではない。そこで先ず、喉頭全摘咽頭部分切除+頸部郭清+遊離空腸再建を行った100例超の下咽頭進行癌についての原発巣MTVの測定を行った。今後は、化学放射線療法群で規定したMTVのcutoff値を手術群に適用した場合、高MTV群、低MTV群のそれぞれで手術群と化学放射線療法群で治療成績に差があるかどうか解析を行う。この解析により、低MTV群については既に化学放射線療法で極めて良好な成績が得られることが判明しているが、高MTV群については手術と化学放射線療法のいずれが最適な治療法かを確立することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下咽頭癌原発巣生検試料を用いてiTRAQ法によるタンパク網羅的解析を当初計画しており、昨年度1回施行したが、内視鏡下生検による試料サイズは小さく解析困難であった。そこで、本年度は上述のように方針を変更して、マウスxenograftモデルを用いた治療抵抗性因子をタンパク網羅的解析により同定することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
候補因子の発現がF0-F1間で真に異なるかをwestern blottingやRT-PCR法など様々な手法で確認する。そして、その候補分子の中から治療の標的分子として用い得るものに絞り、先ずin vitroの系を用いてその発現を調節することにより悪性形質がどのように変化するか、また抗癌剤や放射線の効果がどのように変化するか調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はタンパク網羅的解析を施行したのが1度のみであったため残額が生じた。 次年度はwestern blottingやRT-PCR法による候補因子の検証実験や、in vitro実験系を用いた候補因子が治療標的分子となりえるかの解析実験に用いる。
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