2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞を中心としたFGF23-klothoシステムによる骨基質石灰化の調節機構
Project/Area Number |
24390406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 憲生 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30242431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨細胞 / klotho / 細胞組織 / 石灰化 / 骨基質 |
Research Abstract |
平成24年度では血中リン濃度上昇がPit1を介して細胞内Pi濃度上昇を誘導し骨細胞の機能分化に作用する可能性を検索した。そのため、FGF23/klotho軸が崩壊しており血中リン濃度が上昇しているklotho遺伝子欠損マウス(kl/klマウス)を用いて組織化学的・微細構造学的に解析を進めた。(1)野生型マウス、(2)kl/klマウス、(3)kl/klマウスにP・Ca調整飼料(P:0.22%・Ca:0.34%)低リン餌・低カルシウム餌を与えた群、(4)kl/klマウスにControl精製飼料(P:0.63%・Ca:0.9%)+塩酸セベラマー(3.0%)を与えた群では、kl/klマウスに比べて後者二群が血中リン濃度の低下を示したが、骨組織におけるPit1発現に大きな差は認められなかった。次に、kl/klマウスの骨組織を解析すると、骨基質ミネラルが流出した領域が観察され、そのような領域における骨細胞はDMP-1を過剰発現するとともに、その周囲および骨細胞自体が石灰化を受けていた。このような組織異常は野生型マウス以外全ての群で観察された。さらに、その周囲の骨細管も石灰化を示した。従って、これらの結果から、血中Pi濃度の上昇だけでは、骨細胞の機能異常を誘導することは難しいと考えられた。また、本研究の目的の一環であり、関連臓器である大動脈中膜の石灰化を検索したところ、kl/klマウスでは血管石灰化が誘導・亢進されたが、同週齢のαklotho-/-マウスでは血管石灰化をほとんど認めなかった。血中リン濃度は上昇している事から、血中リン濃度上昇だけでは骨組織異常を誘導するのに充分ではないと考え、現在、引き続き検索を行っている。なお、kl/klマウスにおける骨基質・骨細胞の異常については、現在、論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kl/klマウスに認められるFGF23/klotho軸の崩壊により血中リン濃度上昇が骨細胞およびその機能に対してどのような影響を与えるかについては、今回の一連の検索の結果、すなわち、血中リン濃度だけでは不十分であること、骨細胞に見られる異常を組織化学的に明らかにできたこと、本年度までの研究成果を論文投稿中であることから、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画を申請したとおり、本年度では血中リン濃度だけが原因ではない可能性が明らかになったため、次年度にklotho/FGFRlcの局所的な作用機序の解明、kl/kl(klotho promoterに変異が入った状態)と人為的なαklotho欠損は異なる可能性から、骨・血管石灰化におけるkl/klマウスとαklotho-/-マウスにおけるDNA arrayおよびreal time PCRなどの遺伝子解析と組織解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度内(25年3月31日)までにほぼ当初の計画どおりに使用し、納品済みであるが、金額の支払いが25年4月となったものがあったため、24年度未使用額が発生した。 この未使用額については、24年度中にほぼ計画どおりに使用したため、次年度の使用計画に変更はない。
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Research Products
(4 results)