2012 Fiscal Year Annual Research Report
超微構造解析から探るDMP1による生体内石灰化機構の解明
Project/Area Number |
24390409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊澤 悟 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30243249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 英洋 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (60210259)
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
石本 卓也 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50508835)
佐伯 万騎男 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30273692)
宇佐美 悠 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (80444579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体内石灰化 / dentin matrix protein 1 / 翻訳後修飾 / 超微構造 / 骨細胞 |
Research Abstract |
骨の非コラーゲン性基質蛋白質であるDMP1(dentin matrix protein 1)は、骨芽細胞では産生されず、骨基質に埋まった骨細胞により特異的に産生される。骨細胞から産生されたDMP1は、分泌後に高度なマイナス荷電体となり、強力なCa^<2+>結合能を獲得して骨の石灰化に関与すると考えられている。その過程で、DMP1は様々な翻訳後修飾((1)プロテオグリカン結合、(2)37kDa断片と57kDa断片への切断、(3)カゼインキナーゼによるリン酸化)を受けると報告されているが、DMP1の翻訳後修飾と骨の石灰化との関係は明らかではない。本研究では、DMP1の翻訳後修飾という蛋白分子レベルの微小現象が骨の石灰化に果たす役割を、超微構造解析により明らかにする。 初年度は、DMP1を特異的に発現する骨細胞と初期石灰化現象との関係を検討するため、初期石灰化部位の分布と結晶解析を行った。まず、非脱灰骨組織のエポン樹脂包埋サンプルの作製方法を検討し、陰圧状態で非脱灰骨サンプルにエポン樹脂を長時間浸透させることが有効であることが分かった。また、超薄切片作製時、微小な初期石灰化結晶が可及的に溶解しないよう、50%アルコール水溶液にて超薄切片を作製した。ラット大腿骨の類骨~石灰化骨にかけて電顕観察を行った結果、初期石灰化は、石灰化促進物質であるDMP1を特異的に産生する骨細胞を中心に進行するのではなく、骨芽細胞層から類骨のある一定の幅を保って石灰化が起こっていることが分かった。この現象を2μmの厚みのある切片においても、超高圧電子顕微鏡で確認することができた。骨細胞の周囲では、むしろ石灰化は抑制され、石灰化部位に近接しても骨細胞周囲に石灰化は起こらず、骨細胞周囲にプロテオグリカン分布が認められ、このスペース確保が骨細胞の骨小腔に相当すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非脱灰骨組織サンプルの調整に時間を費やし、DMP1のN端の37KDa断片とC端の57KDa断片の超微構造的解析がまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
非脱灰骨組織サンプルの調整に時間を費やし、今年度の計画で一部解析する予定であったDMP1のN端の37KDa断片とC端の57KDa断片の超微構造的解析が行えていない。その解析分の研究費が直接経費次年度使用額として計上されることになった。今年度の経験を生かしたマニュアルをもとに、非脱灰骨組織サンプルを作製するため、この過程で時間を費やすことはないと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DMP1のN端の37KDa断片とC端の57KDa断片の超微構造的解析を行うため、赤色蛍光タンパク質(DsRed-monomer)タグを目的遺伝子のN端側、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグをC端側に付けた発現ベクター(Clontech)を作製する研究費として、免疫電顕を実施する研究費として用いる。
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Research Products
(4 results)