2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症の慢性化誘導因子としてのクロモグラニンA-カテプシンBと制御基盤技術の創出
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24390416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20155774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武 洲 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10420598)
林 良憲 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80582717)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロモグラニンA / カテプシンB / ミクログリア / 慢性疼痛 / IL-1β / カスパーゼ-1 / NF-κB / IL-18 |
Research Abstract |
本研究は「カテプシB阻害剤の口腔顎顔面領域の慢性炎症を原因として発症する難治性疼痛に対する効果を解析し、新たな先制医療を確立するための物質的基盤を確立する」ことを目的としている。平成24年度は、(実験1)クロモグラニンA刺激に伴うカテプシンB依存的なIL-1β産生経路の全容解明、ならびに(実験2)IL-1ファミリー(IL-18ならびにIL-33)産生様式ならびにカテプシン欠損マウスの慢性炎症に対する抵抗性との因果関係についての解析を研究実施項目と定めた。(実験1)についての解析の結果、クロモグラニンAはリソソー膜傷害に伴うカテプシンBの細胞質内への漏出を引き起こすことなく培養ミクログリアにおけるIL-1β産生分泌を引き起こすことが明らかとなった。さらに、siRNAを用いたNLRP3インプラマソームのノックダウン実験の結果、クロモグラニンAはNLRP3インプラマソームに依存することなく培養ミクログリアにおけるIL-1β産生分泌を引き起こした。さらに、クロモグラニンAはミクログリアに取り込まれた後、形成したファゴリソソーム内において直接的にプロカスパーゼ-1をカスパーゼ1-に変換することが強く示唆された。一方、クロモグラニンAはTLR4ならびにCD14を介してNF-κB経路を活性化することが明らかとなった。このことからクロモグラニンAは単独でIL-1β産生分泌に必要な2つの経路、NF-κBならびにプロカスパーゼ-1、を活性化することが明らかとなった。(実験2)についての解析の結果、クロモグラニンAは培養ミクログリアにおけるIL-18の産生分泌は誘導したが、IL-18の産生分泌はIL-1β産生分泌と同様にカテプシンBに依存していた。さらに、クロモグラニンAは髄腔内注入によりカテプシンB依存的に疼痛を誘導することから、内因性発痛として働くことが明らかとなった。これらの結果より、クロモグラニンAはIL-1β産生分泌に必要な2つの経路を活性化することが明らかとなった。すなわち、クロモグラニンAはミクログリアにおいてTLR4ならびにCD14を介してNF-κB経路を活性化し、プロIL-1β産生を誘導する明らかとなった。さらに、クロモグラニンAはミクログリアにおいてファゴリソソーム内において直接的にカテプシンBによるプロカスパーゼ-1の活性化を誘導することが強く示唆された。このようにクロモグラニンAは非常にユニークな経路を介してミクログリアにおけるIL-1β産生分泌を引き起こすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成24年度の研究実施項目をおおむね実施することができ、予測していた以上の研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
カテプシンS欠損マウスの慢性疹痛を原因とする口腔顎顔面領域に生じる難治性疹痛に対する抵抗性について検討する。また、カテプシンS以外の主なリソソーム性システインプロテアーゼであるカテプシンLならびにH欠損マウスについても同様の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に消耗品費ならびにカテプシン欠損マウスの飼育のための研究補助に使用する予定である。
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