2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯槽骨増生を目的とした破骨細胞と骨芽細胞の骨代謝共役機構の解明
Project/Area Number |
24390417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90278177)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90434480)
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病 / 歯槽骨 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / OPG / RANKL / μCT / 皮質骨 |
Research Abstract |
【目的】歯周病において、歯槽骨の吸収は歯の喪失を引き起こす。しかし,歯周病に骨吸収関連遺伝子がどの程度関与しているかは明確でない。そこで、我々は骨吸収関連遺伝子としてosteoprotegerin(OPG)の歯周病への関与を明らかにするため、OPG遺伝子欠損マウスとRANKL遺伝子強発現マウスの歯槽骨を観察した。 【方法と結果】(1)野生型(WT、C57BL/6)、OPG欠損マウス、RANKL Tgマウスの下顎第一臼歯の根分岐部における歯槽骨をマイクロCTで撮影して、骨量を測定した。12週齢のWTの骨量は約60%であったが、OPG欠損マウスの骨量は約25%に減少していた。(2)ヒトと同様の基準で歯槽骨吸収を評価するため、マウスの上顎臼歯のセメントエナメル境から歯槽骨頂までの距離(CEJ:ABC)を測定した。12週齢のOPG欠損マウスにおいて、歯槽骨の著しい吸収が観察された。一方、RANK LTgマウスにおいては、顕著な歯槽骨吸収は認められなかった。次に、この骨吸収をビスボスホネートまたは抗RANKL抗体で抑制できるかを検討した。(3)8週齢のOPG欠損マウスにrisedronateを4週間投与、抗RANKL抗体を1回投与し、歯槽骨吸収を評価した。その結果、これらの骨吸収抑制剤投与により、OPG欠損マウスの歯槽骨吸収の亢進は著明に抑制され、骨量は増大した。 【まとめ】OPG欠損マウスのみ皮質骨や歯槽骨が多孔質化し、骨の内部と表面で破骨細胞が顕著に増加した。一方、RANKL Tgマウスの皮質骨や歯槽骨は多孔質化せず、OPG陽性の骨細胞が認められた。また、海綿骨におけるOPG陽性骨細胞は僅かであった。以上の結果より、骨細胞が産生するOPGが皮質骨や歯槽骨の維持に重要な役割を果たしていることが示された。また、OPGの発現低下は歯周病の進行に重要であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨細胞が産生するOPGが皮質骨や歯槽骨の維持に重要な役割を果たしていることが示された。また、OPGの発現低は歯周病の進行に重要であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今回計画した研究においては、破骨細胞から骨芽細胞へのRANKLのリバースシグナルを解明することである。そして、これらの基礎的研究成果を基にして、歯槽骨吸収の予防及び残存する歯槽骨を保存する薬剤の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究遂行において、少額の直接経費次年度使用額(8,919円)が生じたが、平成25年度の研究費と合わせて、破骨細胞から骨芽細胞へのRANKLのリバースシグナルの解明のための分子生物学的研究に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)