2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規がん関連上皮細胞による、がん悪化促進機構に関する研究
Project/Area Number |
24390419
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
齋藤 正夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (90345041)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EMT / 上皮間葉転換 / がん細胞 |
Research Abstract |
本研究では、研究課題「新規がん関連上皮細胞による、がん悪化促進機構に関する研究」のもとに研究を遂行した。DNAマイクロアレイより新規がん関連上皮細胞に分化させた細胞に高く発現する遺伝子を複数選択し、生化学的解析を行いmRNA、タンパク質ともに新規がん関連上皮細胞で、発現が高いことを確認した。さらに、その機能を探索するために、一部の遺伝子のノックダウン細胞を作製したところ、運動性に関与していることがわかった。また、これらの遺伝子がERKの活性化に依存して発現が上昇していることから、ERKの阻害剤を添加したところ、これらの遺伝子産物の発現が低下することを見出した。また、これらの遺伝子産物の新規がん関連上皮細胞での特異性を検討すると、悪性度の高い乳癌細胞でも発現が亢進しており、ERKの阻害剤で低下することを確認した。さらに、乳癌細胞の悪性度と正の相関を示すEMT調節転写因子ZEBの発現とこれらの遺伝子産物の発現が一致するばかりでなく、ZEB1もERK阻害剤で発現が低下した。これらの結果は、ヒト乳癌病理組織でも検討し、乳癌細胞にも発現していることを染色でも確認した。したがって、これらの遺伝子産物は新規がん関連上皮細胞にのみ発現しているのではなく、悪性度の高い乳癌細胞にも発現していることから、EMTに関連した分子マーカーであることが判明し、論文を作成し公表した。しかしながら、しかしながら、本研究目的である新規がん関連上皮細胞にのみ発現する分子ではなかったことから、分子マーカーとなりうる遺伝子産物の探索を更に進め、現在、あらたに1分子に絞り解析を進めており、平成26年度中に論文を作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、マイクロアレイなどからEMTの分子マーカとなる新規候補遺伝子を選択し解析を行った。in vitroでは悪性形質の強いがん細胞を比較的特異的に染色でき、生化学的には目的に合った発現変化を示めした。しかしながら、ヒト病理組織標本を用いた検索結果では、やや十分でないことが判明した。これは、EMTを獲得すると間葉細胞様の形質となるため、本研究で明らかにした分子が癌組織の間質にある細胞にも、思った以上に発現していることが判明した。したがって、悪性度の高いがん細胞とある種の間質細胞との区別が明確でなかった。そこで、この分子に関してはこれまでの実験結果を論文で公開し、新たなEMT分子マーカーとして位置づけに成功した。現在は、それらの点を考慮し、別の分子に着目して研究を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではマイクロアレイを用い目的遺伝子の探索を行い、また同時にsiRNAのライブラリーをスクリーニングもおこなっていた。これらの結果ならびに、過去の実験結果を参考にし、新たに候補となる遺伝子をすでに発見し、それがTGF-b誘導性EMTに深く関与することをすでに発見している。そこで、現在これらの詳細な分子機構を検討中であり、これらから得られた結果を基に、あらたな分子マーカーとして位置づけをし、実際ヒト癌組織標本で検討したいと考えている。平成26年度は最終年度であることから、これらの結果を論文としてまとめるとともに、研究が発展させるための基盤をつくる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Basolateral BMP signaling in polarized epithelial cells.2013
Author(s)
Saitoh M, Shirakihara T, Fukasawa A, Horiguchi K, Sakamoto K, Sugiya H, Beppu H, Fujita Y, Morita I, Miyazono K, Miyazawa K.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 13
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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