2013 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼の質を測る:食品表現型、感覚、脳活動からの総体的アプローチ
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24390436
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
市川 哲雄 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90193432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永尾 寛 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227988)
渡邉 恵 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40380050)
誉田 栄一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30192321)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 咀嚼の質 / 光トポグラフィー / 質問表 / 食品テクスチャー / 筋電図 / 一口量 / 下顎運動 |
Research Abstract |
本研究は、咀嚼を「咀嚼の質(QoM)」という新しい概念で評価するための妥当性を示すことである。そのために、咀嚼の質(QoM)を測るパラメータを網羅的に探索し、咀嚼の意義を全身レベルで確立し、補綴治療時の咀嚼指導方法の改善、咀嚼の質を向上させるための補綴治療法の開発、評価に役立たせることを目的とする。さらに、この網羅的な解析を通して、新たな補綴治療の効果を判定する方法を模索するものである。 本年度は、以下の3つを中心に検討を行った。①咀嚼の質を測る質問表について、昨年度検討した結果をもとにした短縮版質問表を用いて医療関係者1019名の調査を行った。有効回答は845名で、その分析の結果、短縮版の有効性を明らかになったとともに、「食認知」、「食生活」、「摂食行動」の項目がメタボリックシンドロームのリスクおよび一口量の咀嚼行動と関係することが示唆された。②15名の被験者を用いて咀嚼時の食品テクスチャー(硬さ、凝集性、付着性)の経時的変化、下顎運動、咬筋、側頭筋筋電図の変化の測定、分析をした。その結果、咀嚼の進行に伴って元の食品の物性に応じた特異的な食塊テクスチャーの変化が、食塊テクスチャーの変化に対応した下顎運動様相の変化,咀嚼運動が食感の変化に対応して営まれていることが観察され、咀嚼時の下顎運動は食塊テクスチャーの変化に伴う口腔感覚の影響を受け、嚥下までに物性の調整を要する食品ほど感覚と運動の協調による咀嚼が営まれると示唆された。③光トポグラフィーを用いた前頭前野の脳血流量計測によって、咀嚼時の5つが基本味(甘味、塩味、苦味、酸味、旨味)の前頭前野への影響について検討を行った。その結果、その人の5基本味に対する主観的評価と前頭前野血流量との関係が示唆された。 次年度は咀嚼の質のパラメータなり得る項目をさらに網羅的に探索するとともに咀嚼の質(QoM)の概念の確立を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、咀嚼の質を測る測定方法をできる限り確立し、大規模なサンプリングに移行することであった。咀嚼の質を測る質問票については1000以上のサンプリングを行い、また食品テクスチャーの経時的変化も10名以上のサンプリング、また脳血流量についても数名のサンプリングを始めており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定どおり、咀嚼の質の概念の妥当性を確立し、それを支持するデータ収集を引き続き行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
咀嚼の質を測るパラメータのうち、脳活動に及ぼす影響や代謝に及ぼす影響を測る項目についての研究が十分でなく、その分の消耗品経費が十分に使用できなかったため 咀嚼の質のなかで、咀嚼行動の全状況を把握するシステムおよび代謝へ及ぼす影響に関する研究に必要な消耗品に振り替え使用する予定である。
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Research Products
(4 results)