2012 Fiscal Year Annual Research Report
TRAF1由来の膜通過型ペプチドによる歯槽骨吸収抑制効果の解析
Project/Area Number |
24390437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牧平 清超 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (80304450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永留 初實 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30284516)
篠原 義憲 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00423533)
峯 裕一 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (60605989)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TRAF1 / 骨吸収 / ペプチド / 破骨細胞 / 膜通過 |
Research Abstract |
外来刺激による骨吸収の一部は,破骨細胞の分化を促進させる主な因子であるReceptor Activator of NF-・B Ligand(RANKL)の発現が促進し,破骨細胞が活性化されることで引き起こされていると考えられている.我々はTNF Receptor-Associated Factor(TRAF)Familyの属する分子の中で,TRAF1が破骨細胞の分化を負に制御していることを報告している.これらの知見をもとにマウスおよびヒトにおいて保存されているTRAF1タンパクの配列の中でいくつかの抗原候補部位を含むペプチドを合成し,in vitroにおける破骨細胞の活性抑制効果を検討した.また,アルギニンに富むペプチドは細胞膜を透過し細胞内送達能があることが知られていることから,決定したTRAF1由来アミノ酸配列のC末端に,アルギニン11残基を付加したペプチドを合成した(T1およびT2).さらにコントロールとしてアルギニン11残基のみからなるペプチド(11R)を準備した.T1-FITCが,RAW264.7細胞の細胞質内に移行していることを確認した.また,T1で処理したRAW264.7細胞では,ペプチド未処理のRAW264.7細胞と比較して,可溶性RANKLにより誘導されたTRAP陽性多核巨細胞の出現数が有意に減少した.一方,11RおよびT2で処理したRAW264.7細胞では有意な影響を認めなかった.平成24年度の結果より,TRAF1由来ペプチドであるT1は,RAW264.7細胞の細胞質内へ取り込まれ,可溶性RANKLによるRAW264.7の破骨細胞様細胞への分化を抑制することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞の分化を抑制するTRAF1由来の膜通過型ペプチドのスクリーニングを行った。RAW264.7細胞のin vitroの実験系を用いて、2種類の破骨細胞の分化を抑制する効果を有した膜通過型のペプチドに絞り込むことができた。純度の高いペプチドでの再現性を含めた実験まで終了することはできなかったが、当初予定していた候補ペプチドを絞り込むまでは達成したため、実験計画はおおむね順調にすすみ成果を挙げていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に完了しなかった純度の高いペプチドでの再現性の検討を行う。実験の項目が増加するため、研究補助者を増員することによって細胞培養、動物実験などの効率化をはかり、研究を遂行する。この期間で得られた結果をとりまとめ、成果発表を関連学会で積極的におこなっていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は純度の高い高額な合成ペプチドの実験まで至らなかったため、この実験を平成25年度に行う。そのため、経費の0部を平成25年度に繰り越すこととする。平成25年度は、平成24年度の研究で絞り込み骨吸収抑制剤の候補となったTRAF1由来の膜通過型ペプチドの細胞毒性の検証を多角的に行う。動物実験へと展開するためには、細胞毒性の検証を避けることはできないため、in vitroで十分に検証し動物実験へと展開する基礎的データを集積する予定である。
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