2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390438
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10438377)
河野 舞 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (90586926)
佐々木 みづほ 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (70638410)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 咬合 / 咀嚼 / 糖代謝 / 糖尿病 / 生活習慣 |
Research Abstract |
これまで、糖尿病に対する咀嚼の効果を検証するための2型糖尿病の疾患モデルを作製するため、C57BL/6Jマウスに高脂肪食を継続して与えたが、2型糖尿病の基準を満たす病態は得られなかった。平成25年度は、疾患モデルを構築するため、1日当たりの摂取カロリーや栄養素に関しさまざまな条件設定を行いマウスの飼育をした。その結果、4週齢のマウスに経腸栄養剤と高脂肪飼料の組み合わせによる飼料を12週間継続投与することにより、体重が2.5倍、随時血糖が200mg/dl、空腹時血糖が130mg/dlを超えるマウスが高頻度で出現した。耐糖能試験では、24時間絶食後、体重1kg当たり2gの糖を摂取させ、2時間後の血糖値を測定したところ、200mg/dlを上回る結果となった。このモデルはWoleverらの糖尿病の判定基準から糖尿病モデルとみなすことができる。 次に予備実験として、健全なマウスを24時間絶食させ、栄養素が全く等しい固形飼料または液体飼料を投与し、糖代謝に関わるホルモンの分泌量の経時的変化を計測したところ、液体飼料を給餌した群に比較して、固形飼料を給餌したマウスのインクレチン分泌量が有意に高まった。インクレチンアは糖代謝に関わるホルモンの1つで、インシュリンの分泌を促進させることが知られている。 上記の方法にて糖尿病モデルマウスを作製し、24時間絶食後に栄養素が全く等しい固形飼料または液体飼料を投与し、糖代謝に関わるホルモンの分泌量の経時的変化を計測したところ、健全ラットと同様にインクレチンの分泌量が高い傾向が認められた。これらの相違は現在のところばらつきが大きく、一定の傾向を見出すためには今後サンプル数を増加させることが必要であるが、咀嚼が糖尿病マウスの糖代謝に影響を与えることを示唆する足がかりとなる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に完成させる予定であった糖尿病マウスが、完成に至らなかったため、実験の開始に遅れが生じた。しかしながら、平成25年度は早い段階で糖尿病モデルを確立することができ、咀嚼と糖尿病の関連を明らかにする実験系を開始し始めたため、申請時に計画したタイムスケジュールにかなり近い状態になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年は咀嚼が糖尿病に与える短期的効果に焦点を当てて実験を実施した。今後はその効果についてより明らかにすべくサンプル数を増加させることを目指す。また、そのメカニズムを解明するための迷走神経ブロックに関する実験も開始する予定である。さらに、咀嚼が糖尿病に与える長期的効果として、長期的な血糖値およびホルモン分泌のモニターを実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
咀嚼と糖尿病の関連のメカニズムを検証するための実験として、胃の幽門部を結紮した上で、固形飼料または液体飼料を給餌させ、咀嚼が糖代謝に関与するホルモンの分泌に与える影響を検索する予定であったが、予備実験の段階で、胃を結紮したところ実験動物がまったく餌を摂食しなくなってしまい、この実験系は中止としたため次年度使用額が発生した。 咀嚼と糖尿病の関連のメカニズムを検証するための代替の実験として、グルコースの静脈内投与をした場合、すなわち口腔に対する刺激を一切取り除いた場合のホルモン分泌の変化を計測する実験系を計画している。ここから得られるデータと、液体飼料を摂取した場合、固形飼料を摂取した場合とを比較することによって、口腔内の刺激が、ホルモン分泌の変化に重要か否かを検証することが可能となる。
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