2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性を制御する足場の気孔分布と表面硬度に関する硬組織再生医工学的研究
Project/Area Number |
24390443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10242439)
田中 孝明 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00217043)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人工高分子 / スキャホールド / 組織工学 / 骨組織再生 / 生体活性 |
Research Abstract |
平成24年度は多孔質足場基材の開発と骨膜培養に関する基礎的研究を実施した。 1.多孔質足場材料基材の開発:生分解性高分子であるポリ乳酸(PLLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、および両者のポリマーブレンドを用い、熱誘起相分離法にて多孔質基材を作製した。ブレンド比の異なるポリマーブレンドを用いることにより、弾性率や破断強度、表面および内部微細構造の異なる多孔質基材を作製することができた。牛由来の骨膜組織を用いた培養において、基材表面の20-50μmの気孔が骨膜組織の基材への定着に有効なことを示した。 2.多孔質足場基材の力学的特性に関する研究:上記の引張り試験に加えて、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて作製した基材の表面の粘弾性を測定した。その結果、一般に受け入れられている緻密体のデータの1/10程度の粘弾性であったが、相対的にはPCL>__-PLLA>PCL+PLLAブレンド(50:50)という関係であった。 3.骨膜培養に関する基礎的研究:先行研究において、このような多孔質基材にヒト骨膜シートを培養した場合、骨芽細胞への分化誘導によって、proteoglycanの産生が促進され、並行して細胞外気質深部気孔への侵入が促進されることを明らかにしている。本研究では、逆に骨膜細胞を未分化状態に維持することの効果を調査する目的から、まずディッシュ上の培養で幹細胞用培地の効果を検証した。その結果、幹細胞用培地は骨膜シートの細胞増殖とECM産生を顕著に亢進し、CD146陽性の未分化前駆細胞の占める割合を有意に増加することを明らかにした。興味深いことにこの骨膜シートは動物移植により通常の骨膜シートより高い骨形成活性を示すことがわかった。現在、その作用機序の解明と多孔質基材上での培養を実施し効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔質足場基材の開発に関する研究においてはポリマーブレンド法による基材開発の研究成果の一部がMaterials Letters誌に掲載され,骨膜培養に関する基礎的研究においても,研究成果の一部がStem Cell Research誌掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔質足場基材の開発においては、相分離条件や後処理工程によって孔径や孔構造を変化させる研究を進める。骨膜培養に関する基礎的研究においては、幹細胞用培地が未分化細胞を効率的に増殖するメカニズムの解明と多孔質基材上での骨膜培養への使用によりその効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬と実験動物を主体とする消耗品購入のための物品費と研究成果の発表ならびに最新情報収集のための学会出張のための旅費に使用する計画である。
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Research Products
(10 results)