2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔細菌が誘発する炎症性腸炎悪化における病原メカニズムの解明と高リスク株の特定
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24390461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00379083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 良太 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90437385)
根本 浩利 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80527226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔細菌 / 炎症性腸炎 / レンサ球菌 / う蝕原性細菌 / サイトカイン / 貧食能 / 血清型特異多糖抗原 / コラーゲン結合タンパク |
Research Abstract |
S.mutans TW295株が腸炎に及ぼす影響を、in vitroおよび動物モデルで検討するとともに、陽炎患者の口腔検体を用いて検討した。その結果、マウス腸炎モデルにおいて,TW295株を頸静脈より感染させると腸炎の悪化を生じたが、PBSの投与およびMT8148株の感染では同様の現象が生じなかった。また、腸炎の悪化を誘発するためには、1x10^5CFU以上の菌量が血液中に侵入することが必要であり、同量またはそれ以上の菌を経口感染させても悪化は生じなかった。血滴型多糖抗原におけるラムノースポリマーからなる主骨格に結合するグルコースポリマーを欠失しているTW295株は、標準株のMT8148株と比べて抗原性が低下しており、多型核白血球による貧食作用に抵抗性を示した。また、マウス腸炎モデルにおいて、頸静脈より感染させたTW295株は、その菌体表層にあるCnmタンパクの作用によって、より有意に肝臓実質細胞に取り込まれた。マウス腸炎モデルにおいて、TW295株を取り込んだ肝臓実質細胞は、IFN-γを産生し、αAGPおよびアミロイドA1といったタンパクにより炎症反応を増幅させることで生じた免疫機構の不均衡が、腸炎の悪化につながる可能性が示唆された。腸炎患者の口腔内に存在するTW295株のような白血球貪食能が低くCnmタンパクを保有するS.mutansの割合は、健常者の割合より有意に高かった。また、腸炎患者より分離したS.mutansにおける腸炎モデルにおける病原性を調べると腸炎の悪化傾向が認められた。以上の結果は、TW295株のような白血球貪食能が低くCnmタンパクを保有するS.mutansが血液中に侵入すると、腸炎の悪化を引き起こす可能性の高いことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔細菌のうちう蝕原性細菌に関する分析の大部分を終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、う蝕原性細菌以外の口腔細菌にまで対象を拡大して分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね当初の計画通り進んでいたが、一部年度内に行うことができなかった分析が生じた。そこで、残金を物品費として翌年度に用いてその分析を遂行することとした。
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Research Products
(3 results)