2013 Fiscal Year Annual Research Report
下顎頭軟骨細胞の分化成熟過程における機械的刺激応答の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24390462
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70241643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 直人 九州大学, 大学病院, 講師 (70359529)
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10510018)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / ストレス / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
ヒトの顔の成長発育ならびに咀嚼機能を支える最も重要な器官のひとつとして、顎関節が挙げられる。本研究では、下顎頭軟骨細胞の機械的刺激応答の分子機構を多面的に検討し、下顎頭軟骨における軟骨細胞分化のメカニズムを解明するとともに、機械的刺激による下顎頭軟骨細胞の細胞分化の促進、あるいは抑制機構について、一次軟骨と比較しながら検討する。 これまで、我々は下顎頭胚を用いた実験に先立ち、ラット胎齢12日の四肢胚を採取し、シリコンを底面に持つFlex Iプレートを用いて細胞に伸展力を負荷することにより、軟骨細胞の初期分化に対する機械的刺激の影響を検討してきた。本年度は、Flex Iが販売中止となったことにより、後継品であるBioflexを用いた際の培養条件を新たに設定するために、ラット胎齢12日の四肢胚を採取し, 2×106, 3×10^6, 4×10^6, 5×10^6 cell/mlの濃度で60 μl/spotずつ播種し、10%FBS添加DMEM培地にて培養を行い、1週間後、ホールマウントアルシアンブルー染色を行った。その結果、Flex Iプレートを用いた時と同程度の軟骨ノジュール形成が認められたのは、3×10^6 cell/mlであった。 また、Bioflex に伸展力を負荷する装置を新たに作製した。メンブレンの厚み(Flex I: 2 mm, Bioflex: 0.5 mm)やwellの表面積の違い(Flex I: 4.91 cm2, Bioflex: 9.62 cm2)を考慮し、伸展力を負荷するネジの先端を半球状に加工することにより、メンブレンの厚みの違いにより生じた伸展領域の減少を解消することができた。 現在、有限要素解析を行うことにより、この装置を用いて伸展力を負荷した際、シリコンメンブレンにおける細胞の播種領域にかかる伸展力分布を詳細に解析している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シリコンメンブレン膜培養プレートFlex Iが製造中止となり、その後継品であるBioflex の培養条件を新たに設定し、伸展力を負荷する装置を新規に設計する必要が生じたため
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Strategy for Future Research Activity |
ラット下顎頭軟骨細胞をBioflexプレート上に播種し、開発した伸展力負荷装置にて伸展力を加えたマイクロアレイ解析により一次軟骨と二次軟骨において差異が認められた分子について、ISH法を用いて発現の局在を検討する。胎齢16、18 日および生後0, 5, 21, 70 日目のSD ラットの顎関節および膝関節を0.5%グルタールアルデヒド、4%パラフォルムアルデヒド固定液を用いて浸漬あるいは灌流固定により採取する。採取した試料を10%EDTA にて脱灰し、10μm パラフィン切片を作製しISH に供する。マイクロアレイ解析により得られた結果から、下顎頭軟骨の細胞分化あるいは形質維持に影響を与える転写因子に注目し、遺伝子の機能の解析を行う。 また、胎齢16 日のSDラットより下顎頭胚を採取し、器官培養を行う。下顎頭軟骨の器官培養には無血清DMEM培地を使用する。器官培養を行った下顎頭軟骨に対してsiRNAの導入により、遺伝子機能を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シリコンメンブレン膜培養プレートFlex Iが製造中止となり、その後継品であるBioflex の培養条件を新たに設定する必要が生じたため、平成25年度に行う予定であったマイクロアレイ解析が次年度へ繰越となったため。 マイクロアレイ解析に使用する予定である。
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