2013 Fiscal Year Annual Research Report
分画化歯根膜細胞とのブレンドによる培養骨膜シートの高機能化と新治療法への展開
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24390465
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10242439)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨膜細胞 / 歯根膜細胞 / 共培養 / 骨組織再生 / 血管新生 |
Research Abstract |
骨膜片組織培養における幹細胞様未分化細胞の増幅については、幹細胞様培地を用いることで、細胞増殖とECMの蓄積亢進による多層化・肥厚化が顕著に促進された。このなかで、CD146陽性細胞の占める比率が上昇することを明らかにした。この細胞は、in vitroでは骨芽細胞への分化誘導に対する応答性が低いが、ヌードマウスに移植すると異所性に骨様組織を形成した。細胞の濃縮(高密度化)は骨膜中の骨芽細胞層の形態的特徴からも必須なプロセスと理解されることから、これに続く効率的な分化誘導法の確立によって、骨原性の高い移植物に調製できる可能性が見えてきた。 骨膜シートの血管新生に及ぼす影響については、動物移植ならびに鶏卵漿尿膜(CAM)の実験系で検証中である。特に後者の実験系では、骨膜シートによる血管誘導・新生が顕著であることが確認された。さらに、骨膜シートとヒト血管内皮細胞(HUVEC)の複合化について検討中であるが、いれまでのところHUVECが血管を構成する細胞として直接血管新生に関与している証拠は得られていない。また、血管新生自体を協調的に促進しているというデータも得られていない。 ヌードマウス移植実験系で、骨芽細胞へ分化誘導した骨膜シートは短期的に血管新生と破骨細胞の誘導効果が顕著であることを確認している。しかし、上記の幹細胞培地での実験結果や最近発表された論文から、移植前のin vitroでの分化誘導が中期的なスパンでの骨再生にとって有効かどうか見極めていく必要がある。 一方、歯根膜細胞入手の機会が1回しかなく、貴重なサンプルとして増幅し凍結保存した。共培養に先立って、骨膜シートの培養上清の影響を検討したところ、幹細胞様培地の培養上清が歯根膜細胞の増殖を有意に促進することを確認できた。現在、分画化のための基礎情報を得る目的から、表面抗原の解析を行ない、文献的資料と比較検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯根膜細胞の入手の機会は予定を下回ったため、分画化を実施するところまで進展しなかった。また、共培養の結果から、期待したような協調作用を示唆するデータを得られていない。しかし、これらのネガティブなデータは、次年度の研究計画の見直しに有効に活用できる。幹細胞用培地で調製した骨膜シートに関する基礎的な研究成果は論文ならびに学会発表という形で情報発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨膜細胞と歯根膜細胞の共培養を実施する。この際、骨膜細胞をフィーダー細胞化することも検討する価値があると考えている。動物移植あるいはCAM実験では、細胞を近赤外蛍光色素でラベルして、経時的・非侵襲的トラッキングを行なうとともに、そのエンドポイントでの細胞の局在から、移植細胞が機能・挙動・運命を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯根膜細胞の入手の機会は予定を下回ったため、分画化を実施するところまで進展しなかった。また、共培養の結果から、期待したような協調作用を示唆するデータを得られていない。したがって、条件の見直しを中心とする研究計画の見直しを行う必要があり、試薬と実験動物を主体とする消耗品購入のための物品費と研究成果の発表ならびに最新情報収集のための学会出張旅費および論文発表のための情報発信費に使用する次年度使用額が生じた。 実験物品費として、次の実験系を計画している。骨膜細胞と歯根膜細胞の共培養を実施し、骨膜細胞をフィーダー細胞化する。動物移植あるいはCAM実験では、細胞を近赤外蛍光色素でラベルして、経時的・非侵襲的トラッキングを行なうとともに、そのエンドポイントでの細胞の局在から、移植細胞が機能・挙動・運命を明らかにしたい。これらのデータを論文ならびに学会発表という形で情報発信するために予算化する。
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Research Products
(17 results)