2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24390482
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小西 恵美子 鹿児島大学, 医学部, 研究員 (70011054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八代 利香 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50305851)
山下 早苗 鹿児島大学, 医学部, 講師 (40382444)
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
鈴木 真理子 佐久大学, 看護学部, 助教 (10281255)
八尋 道子 佐久大学, 看護学部, 准教授 (10326100)
足立 智孝 亀田医療大学, 看護学部, 准教授 (70458636)
持留 里奈 鹿児島大学, 医学部, 助教 (00613671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護学 / 倫理学 / 倫理サポート / 看護師 / アクションリサーチ |
Research Abstract |
1.倫理的能力を促進する要素の検討: 当該要素として、倫理的に;① ある(資質面)、②知る(知識面)、③見る・言葉にする (知覚・表出面)、④思考する(内省面)、⑤行う(行動面)の5要素に着目している。これらの促進のため、H25年度は看護師(Ns)とのワークショップを18回実施した。日常の看護業務で遭遇する状況を、Ns自身が書き、それを他のNsと共有し、既成の枠組みに囚われずに自由に話合うワークショップとし、これら要素の促進を検討した。結果、Nsらは問題状況に優しさや共感性(①の要素:ケア)で一生懸命に対応していたが、当該状況でNsに求められる倫理的責務はそのような優しさや共感性とは別のところにあった。Nsが専門職としての倫理的責務を果たすには、法的・倫理的な規範の側面から上記要素を促進させる必要があることがわかり、これに関する考察・提言をH26年度日本看護倫理学会で発表する。 2.看護部倫理委員会支援: 日本の多くの看護部倫理委員会が担っている看護研究の倫理審査機能と臨床倫理サポート機能について、海外の状況と対比しつつ検討するため、Davis 博士の専門的助言を得て、H25年度日本看護倫理学会において交流集会を企画・開催した。また、米国を訪問してさらに情報収集を行った。 3.倫理教育の効果の評価:本研究で作成した道徳的感受性尺度日本版により、倫理教育は看護師の道徳的感受性を変化させるかを検討した。結果、変化は質問項目のレベルで起り、構成因子レベルの変化は認められなかった。 4.上記尺度の精錬:質問項目・表現をさらに修正・精選した質問紙を作成した。実践看護師を対象に調査を行い、結果を解析中である。 5.災害時倫理サポート:災害時トリアージの法的・倫理的側面の国際的な考え方を整理した。また、それを用いて、災害医療に携わる国内の少数の医師・Nsの意識を聞き取り、災害医療におけるNsの倫理サポートに必要な示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・倫理サポートのための看護師ワークショップ:実施は予定回数を超え、18回に及び看護師の倫理的能力を促進する要素への考察が深まった。 ・看護部倫理委員会支援:本研究申請時には、看護師の倫理的能力の促進には研究倫理よりも臨床倫理に重点をおいた支援が重要と考えていたが、本研究での実際の支援をとおし、研究および臨床の両面での倫理支援が大事であり、双方が相互作用して看護師をエンパワーし、倫理的能力の促進に寄与することがわかった。米国での調査から、臨床看護師の研究は本来のリサーチではないが、質向上、プログラム評価、およびエビデンスに基づく実践のstudyの位置づけにあり、重要性が高まっていることがわかり、研究面における看護部支援の視点が明確になった。 ・さらに、自然災害および原子力災害における看護師の倫理サポートの必要性も明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理的問題を含む状況において、看護師は多くの場合、相手との関係性で状況を見たり感じたりし、行動する。これは、優しさや思いやりをもつ日本の看護師の長所とされているものであるが、弱点でもある。なぜなら、相手との関係性のレンズは、その場面に存在する本当の倫理的問題を見る眼を曇らせてしまうからである。現在の医療は、法や、無害・公平性等の倫理規範のレンズをもつことを看護師に求めている。今後の看護倫理サポートは、これまで方針を踏襲しつつ、規範を教えることの比重を高める。 自然災害および原子力災害における看護師の倫理サポートについても探索していく。
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Research Products
(36 results)