2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24390486
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
柳井 圭子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60412764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力武 由美 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 准教授 (70514082)
エレーラ ルルデス 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 准教授 (40597720)
児玉 裕美 産業医科大学, 産業保健学部, 助教 (80584515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 法看護学 / SANE / 性犯罪 / 法看護師教育 / 臨床法看護学 |
Research Abstract |
本研究は,日本における専門的技術を有する法看護師(forensic Nurse)の実践活動を実現・支援するための基盤整理を行うものである。25年度は、法看護学が承認されてきたアメリカで、法看護師養成や活動状況、法看護学が発展してきた諸要因を分析するためアメリカの実態調査(H25.8.24~9.7)を行った。 法看護学発展の基盤となるテキサス州において、Texas Medical Branch Galveston大学病院のP. A. Crane博士よりSANEを中心に法看護学教育について、また模擬患者による実践の場、法看護学教育の実情について研修、小児虐待センターの状況、また医療センターのSANEとともに日本の法看護学の必要性や教育について互いに情報交換を行った。また、Memorial Hermann - Texas Medical Centerでは、性犯罪被害を受けた子どものケアにおいて世界的にも著明な実践家より研修を受けることができた。コロラド州では、法看護学パイオニアであるVirginia Lynch氏、ボストンではBoston大学で法看護学教育を実践している Ann Burgess教授両氏より、アメリカでの法看護学発展の状況や戦略的な取り組みについて研修を受け、日本における方策等について議論した。Pittsburgh大学で法看護学教育を行っているR.E.B. Constantinoによる研修と実際の授業に参加し、法看護学教育の現状を知ることができた。さらに法看護学をオンラインシステムを用いて広範囲で教育を行っているDukuesne大学の L. Kathleen Sekula博士と法看護学担当教員らとオンライン教育のシステムと教育状況等に関する研修を行った。このようにアメリカでの視察調査を終え、法看護学を組み入れたことで看護学教育の効果にどのような変化・影響があったか等について高度実践看護師にあたる法看護スペシャリスト,司法当局で活躍する看護検察官,リーガル・ナース・コンサルタントをも含む法看護師全体の評価と課題について,調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,アメリカ現地調査(国外旅費)に力点をおき,法看護師活動の実態のみならず,法看護師教育制度及び内容,法看護師の活動評価について,様々な立場の者からインタビューを行い、国内では入手が容易でない資料収集を行うこととしていた。前年度より計画を進め,調査協力を依頼した機関を対象に,アメリカでのインタビュー調査を2回行うとしていたが、日程や研究状況から、渡航を1回として、研究者間で調整を行った。なかでも、実際に法看護師として活動しているSANEや法看護師より勤務病院のなかで実際に研修を受けることができたこと、法看護師を支える他職者からも法看護師の活動の実態、法看護師に対する期待について情報や資料を得ることができたこと、20年の間で、法看護師はアメリカ社会において重要な役割を担っていることを知ることができた。法看護学パイオニアであるLynch氏らから、アメリカにおいても法看護学を広めることは容易でなかったこと、そのための戦略的な役割、法制度への提言等多くの示唆に富んだ情報を得ることができた。また法看護師の教育においては、教材の開発として司法当局や他分野との協力を得ることや、学部での教育のあり方、学生の反応を実際に知ることができ、文献等では得ることができない情報をつかむことができたことは意義深いものとなった。また法看護学を実践する上で、法看護師の感情疲労や管理者の対応等、実践環境をどのように整えていくかについても貴重な示唆を得ることができた。 これらを文献と照らし合わせながら、各研究者で自身の担当を整理し検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、25年度の調査において積み残しとなった機関や調査済みであるがフォローアップの調査が必要になる機関を検討している。また,法看護学をグローバルに展開するというIAFNの理念に則って,開発途上国で活動を行うSANEについても可能な限り調査を行う予定である。今年度は、2年間の調査結果をまとめ報告書を作成する予定である。26年度の最後の研究会において,議論を尽くし,研究代表者・分担者の研究成果をとりまとめ,報告書(印刷費)を作成する。加えて、研究成果については,学会等において発表する機会をもち,とりまとめたものを公刊すること,また,研究機関の公開講座等でも社会に向けて報告する機会をもることができるようにする。さらに,先進事例としてのアメリカの法看護学テキストを研究し,日本での「法看護学概論」テキストを作成することも検討していきたい。
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Research Products
(5 results)