2013 Fiscal Year Annual Research Report
口唇口蓋裂児の口腔機能発達を保証する哺乳具の開発と療育支援プログラムの構築
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24390502
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Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
松原 まなみ 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (80189539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 ひとみ 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80319996)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 哺乳障害 / 哺乳具 / 母乳育児 / 地域連携システム |
Research Abstract |
平成25年度は、開発した試作品である『口唇口蓋裂児用哺乳瓶Ver.1』と『哺乳瓶使用マニュアル』の使用例を増やした。口唇口蓋裂児特殊乳首は使用せず正常児用一般乳首を装着する方針に基づき、事例毎に適切な乳首を選択しつつ、育児用品企業との産学共同研究により実用化した乳首(平成25年5月より病産院で試用開始。平成26年3月より市場流通開始。実用新案申請中)の評価も兼ね、開発哺乳瓶と共に適用例を増やした。使用した母親の8割は継続使用しており、概ね好評であり、哺乳困難による体重増加不良症例を減少させることに貢献している。26年度6月には口唇口蓋裂児用哺乳瓶Ver.2が完成予定。実用新案出願し11月よりインターネットを通じて流通予定である。 本研究の基盤となった平成21-23年度科研費「口唇口蓋裂児の哺乳具の開発」(課題番号21390596)の成果を元に作成した『口唇口蓋裂児哺乳支援マニュアル』は、全国の口蓋裂治療施設340箇所に送付すると共に、マニュアルを活用した口唇口蓋裂児に対する哺乳支援方法の普及活動として、第39回日本看護研究学会学会交流集会(8月22日、於秋田)他、藤田保健衛生大学病院口蓋裂センター(平成25年11月9日、於愛知県豊明市)、コンビセミナー(平成25年11月9日、於名古屋市)、聖マリア病院(12月15日、福岡県久留米市)で研修会を開催した。 これまでの一連の研究成果は、第37回日本口蓋裂学会(5月30日、於佐賀)、第64回聖マリア医学会(12月27日、於福岡)にて発表した。 開発した哺乳具適用事例に対する筋電図形を用いた口腔周囲筋の筋活動量測定による評価については、26年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目標である「口唇口蓋裂児の口腔機能発達を保証するための哺乳支援システムの開発」に関し、 目的①哺乳具の開発とハンドブックの作成および評価については、予定通り、口蓋裂児用哺乳瓶試作品(Ver.1)の評価を終え、流通品(Ver2)が実用化の段階に至った。ハンドブックver.1は、流通品に添付するver.2を印刷予定。開発した哺乳支援具(改良口蓋床+口蓋裂児用哺乳瓶+正常新生児用の母乳育児支援人工乳首)を適用し、筋電図計測システムを含む画像同期解析システムを活用した口腔機能評価は、平成26年3月末発売予定の新生児用筋電図計測用電極のリニューアルを待ったため26年度に実施する予定にしている。 目的②哺乳支援プログラム普及を意図した「口唇口蓋裂児の哺乳支援ハンドブック」を用いた研修会の実施およびホームページ立ち上げについては、口蓋裂治療担当医、看護師、助産師対象の研修会を全国3箇所で開催し、哺乳支援方法の啓蒙・普及活動を行った。ホームページの作成については26年度に作成予定。 目的③口唇口蓋裂児の継続的・総合的養育システムのための院内・院外を含めた地域連携ネットワークシステムの構築→継続して検討中。院内連携システム構築は26年度、院外を含めた地域連携システムについては、27年度実施予定。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、開発した口唇口蓋裂児用哺乳支援具の普及を図ると共に、口唇口蓋裂児の地域連携システムの構築をさらに推進する。 変更点としては、平成25年度に実施予定であった筋電図を用いた吸啜時の口腔周囲筋活動の測定について、使用機器の部品(筋電図用電極:日本光電ビロードシリーズ)が平成26年3月にリニューアル予定であったため、その販売を待って26年度に実施する計画に変更した。上記システムを活用し、26・27年度は①汎用されている口蓋裂児用特殊乳首を使用した場合と開発品との比較、②健常児と口蓋裂児との比較、③直接母乳と哺乳具使用時の比較などの比較検討を行う 吸啜運動の画像解析を用いた評価と共に、質的な手法を用いた事例分析を用い、口蓋裂児の母乳育児成功に影響する要因についての検討も行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
口唇口蓋裂児用哺乳具を開発し、その評価目的で、平成25年度に実施予定であった筋電図を用いた吸啜時の口腔周囲筋活動の測定を計画していたが、使用機器の部品が平成26年3月にリニューアル予定であったため、その販売を待って26年度に実施する計画に変更した。それに伴い、25年度備品購入予算として確保していた筋電図計測用備品(アンプの増設)および部品(筋電図用電極:日本光電ビロードシリーズ)の購入をH.26年度予算に移行した。 本年度、筋電図計測用備品(アンプの増設、HAM整流システム)および部品(筋電図用電極:日本光電ビロードシリーズ)を購入し、改良哺乳床および新しく開発した哺乳瓶を使用することによる口腔機能発達への影響について、①通常の乳首を使用した場合との比較、②健常児の吸啜パターンとの比較、③母乳の吸啜との比較などの解析を行うと共に、本研究の目的としている口唇口蓋裂児の完全母乳育児が実現できる事例が増えてきたことから、成功例をさらに増やすと共に、吸啜運動の画像解析を含め質的な手法を用いた事例分析を行い、困難を伴う口蓋裂児の母乳育児を成功させることに影響する要因についての検討を行う。
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Research Products
(5 results)