2014 Fiscal Year Annual Research Report
口唇口蓋裂児の口腔機能発達を保証する哺乳具の開発と療育支援プログラムの構築
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24390502
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Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
松原 まなみ 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (80189539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 ひとみ 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80319996)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 哺乳 / 母乳育児 / 口腔機能評価 / 哺乳具 / 院内連携 / 療育支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は前年度に試作した『口唇裂・口蓋裂の哺乳ハンドブック』を完成版に仕上げ、印刷して全国の口蓋裂治療施設340箇所および、全国の周産期センター約200箇所、日本助産師会の47都道府県支部等へ送付した。また前年度に試作した『口唇口蓋裂児用哺乳瓶Ver.1』の問題点を改良し、『口唇口蓋裂児用哺乳瓶:ママの手』として完成させ、協力企業(株)コンビ社のHPに掲載し、インターネットを通じて無料配布を開始した。 さらに平成26年度は、研究協力施設である聖マリア病院の周産期センター(産科・新生児科部門)と口蓋裂治療センター(歯科・形成外科・コメディカル部門)の協働体制による情報交換会を年4回実施し、多職種協働を特徴とするがゆえに困難な口蓋裂治療と支援における聖マリア病院での連携協働体制の課題を明らかにした。その中で提案された3つの支援策(①口蓋裂支援ハンドブック、②診療手帳、③院内連携パス)を作成し、2015年度の運用に向けて準備中である。 これら一連の研究成果は、第65回聖マリア医学会(12月27日、於福岡県久留米市)第39回日本口蓋裂学会(5月21・22日、於東京都千代田区)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「口唇口蓋裂児の哺乳支援システムの開発」にむけた哺乳具の開発については、口蓋裂児用哺乳瓶が完成し、流通品として実用化できた。哺乳支援方法の開発については、『哺乳支援ハンドブック簡易版』を哺乳具の添付資料として同封した事に加え、2014年8月には「口唇裂・口蓋裂の哺乳ハンドブック」を完成させ、全国の口唇口蓋裂児を支援する施設に配布すると共に、そのハンドブックを用いた研修会を各地で開催した。これらの実績から研究目的は順調に達成できていると評価できる。しかしながら、未だ開発品に関する問い合わせ数が少ない現状にあり、普及活動が十分ではないといえる。哺乳支援方法や哺乳具の入手を希望する口蓋裂児の家族および関連施設からの問い合わせは、主任研究者本人と協力企業の事務員の個別対応に負うている現状にも課題があり、開発した方法が普及した後の対応が十分に行えない事態も予測されることから、最終年度はホームページを立ち上げ、さらなる広報・普及活動と対応方法について検討する予定である。 また、開発した哺乳具の評価は研究前半期に予定していたが、計測機器の購入を延期し、哺乳具の評価研究よりも支援プログラムの開発を優先して実施した。このため、哺乳具の口腔機能生理学的評価のみ、遅れているものの、当初予定していた療育支援プログラムはほぼ達成できており、順調に進行していると評価できる。 さらに口唇口蓋裂児の哺乳支援を実施するに当たっては、哺乳困難に対する母親・家族の心理的負担が予想以上に大きい事が判明したため、研究計画立案時には挙げていなかった「口唇口蓋裂児の母親が体験する授乳困難」について事例分析を行い、第38回日本口蓋裂学会(2014年5月、於札幌)にて発表を行った。それらの成果をまとめ、2015年度に発刊予定の家族看護事例集の一部として掲載することにしたことは当初の予定以上の成果であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
変更点としては、研究前半期(2012・2013年度)に実施予定であった開発哺乳具の口腔機能生理学的評価(筋電図を用いた吸啜時の口腔周囲筋活動の測定)に関し、使用機器の購入を延期して2015年度に実施する計画に変更した。口腔機能計測装置を活用し、2015年度は①汎用されている口蓋裂児用特殊乳首を使用した場合と開発品との比較、②健常児と口蓋裂児との比較、③直接母乳と哺乳具使用時の比較などの比較検討を行う予定である。 今後の推進方策としては、開発した口唇口蓋裂児用哺乳支援具の普及を図ると共に、平成26年度に取り組んだ共同研究施設(聖マリア病院)の他職種連携・協働による院内連携システムから、地域連携システムへとさらに発展させ、モデルケースとして学会発表・報告書作成等により全国発信することによって口唇口蓋裂児の支援システムの普及を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究前半期(2012-2013)に予定していた開発哺乳具の口腔機能生理学的評価(筋電図を用いた吸啜時の口腔周囲筋活動の測定)については、評価に使用する新生児用筋電図計測用電極が平成26年度にリニューアルされたことから、新機能を持つ機器部品の販売を待って機器の購入を延期した。そのため、研究目的のうち哺乳具の評価よりも支援プログラムの開発を優先して研究前半期に実施した。 上記の理由から、筋電図形を用いた開発哺乳具の評価を27年度に実施する計画に変更したため、機器購入予算および、画像解析処理のための人件費を残して予算執行を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度前半期に新生児の吸啜時の筋電図計測のための機器を購入し、後半期(10月以降)に開発哺乳具を用いた吸啜時の口腔周囲筋活動の測定および、画像解析を実施する。
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Research Products
(4 results)