2012 Fiscal Year Annual Research Report
長江下流域における基盤整備型水田の成立期に関する学際的研究
Project/Area Number |
24401002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 博之 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30155064)
中村 慎一 金沢大学, 副学長 (80237403)
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 教授 (80274679)
小柳 美樹 金沢大学, 国際文化資源学センター, 客員准教授 (40436671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水田稲作技術 / 考古学 / プラント・オパール分析 / 圧痕分析 / 良渚文化 / 農具 |
Research Abstract |
本研究は、最近の発掘成果にもとづき、長江下流域に所在する良渚遺跡群を主要な対象として弥生時代のような「基盤整備型の水田」の探査を実施し、国家へと繋がる社会形成の原動力となる「余剰生産性を備えた水田稲作技術」の中国における成立期とその概要(規模や栽培イネ)の解明を目指すものである。 平成24年度は、計画初年度にあたり、翌年度の本格的な水田遺構探査へ向けた調査区候補の選定を中心に取り組みを行った。以下に主な取り組みと成果をまとめる。 【取組】良渚遺跡群内で微地形分析を実施し、「基盤整備型の水田」が立地する可能性が高い範囲の洗い出しを行う。また、ボーリング調査を試行し、堆積状況の確認(良渚の文化層の存否)と分析用の土壌採取とそのプラント・オパール分析を試みる。 【成果】11月に浙江省に所在する莫角山遺跡および茅山遺跡周辺の微地形調査を実施した。その結果、開発による撹乱や破壊の影響を考慮すると莫角山遺跡周辺が調査地としては適しているという結果を得た。 また、遺跡の範囲内で、ボーリングを実施し、堆積状況の確認を行うことができた。さらに、天候や現地研究者の協力に恵まれ、本来は来年度の予定であった当該遺跡周辺でボーリングによる水田遺構探査の試行と分析試料採取を行うことができた。 【取組】出土土器を対象とした、レプリカ・セム法を用いた圧痕分析による貯蔵食物害虫と種子に関するデータの収集ならびに石犁など出土農具の比較、用途等についての比較検討 【成果】圧痕分析については、現地調査はできなかったが、12月に中国の現地研究者との研究会を行い、今後の調査についての詳細な研究打ち合わせを実施した。また、農具については、研究分担者が中国での石犂の比較資料調査を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画の中心である水田探査については、平成24年度は微地形分析を実施し、水田遺構探査の候補地の選定を行う予定であったが、第一候補地の選定が予想よりも早く進み、また、現地研究者の格段の協力もあり、本来は平成25年度の予定であった、第一候補地のボーリング調査を実施し、分析試料を採取することができた。一方、圧痕調査については、現地調査ではなく、日本での研究会における詳細な研究打ち合わせの実施となった点もあり、総合すると進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初の計画に沿って、水田探査を進めるととともに土器圧痕や農具調査も進展させてゆく。但し、現在、調査国(中国)では鳥インフルエンザの流行が懸念されているため、今後の状況によっては、現地調査を短縮し、昨年度の採取試料の分析をはじめ、国内での試料分析・資料調査によって計画を進めることとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は調査国(中国)と日本との政情が不安定な時期があり、予定していた中国での研究打ち合わせや調査の見合わせの短縮を行ったため、予定していた旅費や物品費等を繰り越すこととなった。政情が安定すれば、これらの経費は次年度の予算の調査旅費および調査消耗品に充当し、現地調査の充実を図りたい。
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Research Products
(13 results)