2012 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域の国々における沿岸コミュニティの災害復興に関する複合領域的研究
Project/Area Number |
24401007
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ニーフ アンドレアス 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60618297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
シンガー ジェーン 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00570003)
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
藤井 滋穂 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (10135535)
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 災害復興 / 自然資源 / 質的調査 / フィジー:タイ:ベトナム / 沿岸コミュニティ |
Research Abstract |
研究初年度は協議の上で研究対象国の内、フィジー、タイ、ベトナムに重点を置いて研究プロジェクトを開始する事とした。これら3カ国では地元の研究者にも協力をお願いしてフィールド調査を集中的に行った。フィジーでは2012年に2度の水害のあったBa地域を調査対象地とし、上流(山間地域)と下流(沿岸地域)における自然資源管理と自然災害の因果関係の調査を行った。本調査では特に対象地域の住人が災害の原因をどう理由づけているか、災害発生時の行動といった点について重点的に聞取りを行った。タイでは2004年に津波の被害のあったPang Nga省を中心に調査を行った。特に復興期の土地をめぐる争いの勃発、再定住、自然資源管理の状況を中心にフィールド調査を行った。また復興過程における観光や資源産業などの地元ビジネスの役割にも注目した。ベトナムでは1999年と2009年の台風で大きな被害を受けたThua Thien Hue省の2つのコミュニティで約60戸に対してアンケート調査を実施し、その後フォーカス・グループ討議法を軸とする質的調査を実施した。3か国の調査ではいずれも質的調査と定量的調査の双方から検証を試みている。そうした中でイージー・ライティングなどの新しい質的調査手法を盛り込むことを試験的に進めているところである。1年間の研究を通じて、社会的ネットワーク、社会的資本が復興時に果たす役割の重要性が技術的、資金的援助と同様に重要となることを検証した。また自然資源管理は災害時の被害に影響を及ぼすが、復興を後押しする重要なファクターとなることも検証している。 2012年度には国際地理学会において、研究代表者が「Local Responses to Natural Disasters」の3つの分科会の座長を務める形で本研究分野の議論を深めた。またタイとベトナムの研究をもとに報告書を作成し、これをもとに2013に「Risk and Conflicts」のタイトルで本の出版が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害後の沿岸コミュニティにおける復興状況やその社会的な復興要件を検証することに焦点をしぼり、主に質的調査手法を用いて3カ国でのフィールド調査を実施した。調査対象としている4カ国のコミュニティの内、宮城以外の地域では調査研究に着手し、ほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
宮城におけるフィールド調査は現在の現地の状況を鑑み、2013年に本格的に始動させることとした。その前段階として、現地情報の収集、及びすでに被災地で研究を開始している研究者らとの情報交換を行って準備を進めてい る。またその他3カ国の地域でもフォローアップ調査を遂行していき、総合評価モデル(integrated assessemntmodel)として検証すると共に研究成果を発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度は研究の基盤づくりに重点をおき、質的調査を主に用いた研究を行った。次年度は複合領域的研究を更に本格化させ、自然科学分野等からも考察も深めていく予定となっている。また中間成果の発表の場として、ワークショップ等の開催を計画中でもあり、一部経費を2013年度に持ち越すこととした。
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Research Products
(6 results)