2013 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアのアブラヤシ農園拡大過程の変容-土着化・内延化と社会層分化
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24401008
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 淳嗣 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30218002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祥穂 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40345062)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / インドネシア / アブラヤシ / 大農園 / プランテーション / 社会層分化 / リアウ |
Research Abstract |
インドネシアにおける,過去30年間のアブラヤシ農園の拡大には目覚ましいものがあり,スマトラやカリマンタン等の地方社会の社会経済発展や資源利用のあり方に大きな影響を与えている.従来は大企業による大農園開発が中心であったが,1990年代末以降,小規模農園の開発が増大したり,既開発地の再配分が争点となるなど,土着化・内延化とでもいうべき重大な変化が生じている.本研究は,こうしたアブラヤシ農園の拡大過程とインドネシア外島部の社会変容との関係を,社会層分化の実態や,各社会層の生産力構造と生産関係の解明を通じて実証的に明らかにしようとするものである. 本年度の研究では,初年度に引き続き,事例地域として取り上げたリアウ州(州別アブラヤシ農園面積で全国1位)のアブラヤシ農園拡大過程を跡づける体系的なデータ収集を行った.特に,企業経営や小農経済に大きな影響を与えるアブラヤシ買取価格の決定メカニズムの解明に成果をあげた.また近年のリアウ州におけるアブラヤシ部門に関わる諸事象を把握するため,前年度に引き続き,リアウ州を代表する新聞リアウ・ポスのアブラヤシ関連記事の収集を行い,土着化と内延化の過程を浮き彫りにする貴重なデータベースの構築を進めることができた.一方,リアウ州のフィールドにおけるインテンシブな現地調査は,アブラヤシ農園開発の先進地域である北スマトラ州との州境に近いロカン・ヒリル県と,その状況を相対化する目的で,リアウ州中部のシアク県で行った.ロカン・ヒリル県では,国有農園企業の所有する大規模農園に加え,ロカン・ヒリル県政府による計画的開発地での実態調査を行った.一方,シアク県では,国有農園企業が開発したPIRと呼ばれる開発計画地による小農の農園経営の実態調査を行い,アブラヤシ農園開発に伴う,多元的な社会層分化の状況を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究実施計画に沿う形で,リアウ州全体のアブラヤシ農園部門に関わるデータベースの構築と,フィールドでのインテンシブな現地調査を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,ほぼ研究実施計画に沿う形で研究を遂行できたので,今後も基本的に研究計画を変更することなく,研究を推進していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額の発生は,調査時期を調整した結果,渡航回数が予定より少なくなり,旅費に余裕が出たこと,現地での資料収集費・コピー費用・車両借り上げ代などの見込みに若干のずれがあったためである. 直接経費次年度使用額は,主に次年度の現地調査費用に組み込み,適切に使用していく.
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