2012 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおけるソ連時代の記憶:過去と現在の照射
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24401009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小松 久男 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (30138622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソ連 / 記憶 / 中央アジア / カザフスタン / 社会主義 |
Research Abstract |
2012年度の海外調査は7-8月の夏季に集中して行った。この間に研究分担者と協力者はアルマトゥ市でインタビュー調査に際しての質問項目について再確認を行うとともに、インタビュー可能な回答者に関する情報の収集と対象者の選定を行った。実際のインタビュー調査は、アルマトゥ市とその近郊のほか、カザフスタン東部のウスチカメノゴルスク州で行い、カザフ人、ロシア人、ウイグル人、ドゥンガン人など合わせて17人からソ連時代の記憶を聴取することができた。ウスチカメノゴルスク州では州都を遠く離れた村落部で聞き取り調査を行ったほか、新たな質問項目としてソ連時代のセミパラチンスクにおける核実験に関する記憶を加えた。ソ連時代この核実験について情報は公開されておらず、その意味でも人々の記憶は大きな意味を持つと考えられる。また、回答で大きく評価の分かれたのはソ連末期のゴルバチョフ政権であり、ソ連を崩壊させた同政権の未熟さや能力の不足を批判する声と同時に、ペレストロイカは当初は有害に見えたとしても、その後には生活条件の顕著な向上をもたらしたとして高く評価する意見も聞かれた。このような見解の相違は回答者の民族や過去と現在の境遇などとどのような相関関係にあるのか、今後とも継続して検討すべき課題と考えている。収録されたインタビュー内容は現在文字起こしの作業を進めており、非ロシア語の回答についてはロシア語への翻訳を合わせて行っている。 以上の、海外調査と並行して、最終的な成果のとりまとめとして予定している英文論文集について、研究分担者と協力者は企画の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カザフスタンにおけるインタビュー調査は順調に進んでいるが、録音されたデータの文字起こしとロシア語への翻訳作業は相当の時間を必要とするため、予定よりも遅れている。来年度以降は、この作業の進捗をはかることにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もカザフスタンにおけるインタビュー調査を継続するとともに、インタビュー録音の文字起こしと翻訳作業を進める。また、タジキスタンにおける調査の可能性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビュー録音の文字起こしと翻訳作業には相当の時間を要するため、昨年度はこの作業にかかる人件費・謝金の執行に至らなかった。今年度の余剰金は来年度の人件費・謝金に加えることにしたい。
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