2013 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおけるソ連時代の記憶:過去と現在の照射
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24401009
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小松 久男 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30138622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソ連 / 記憶 / 中央アジア / カザフスタン / 社会主義 |
Research Abstract |
2013年度の海外調査は7月末-8月の夏季に集中して行った。この間に研究分担者と協力者は、アルマトゥ市でインタビュー調査に際しての質問項目について再確認を行うとともに、インタビュー可能な回答者に関する情報の収集と対象者の選定を行った。実際のインタビュー調査は、カザフスタン北部の都市コスタナイとその周辺、その後中北部のアスタナで行った。コスタナイをはじめとする北部は、ソ連以前からロシア人などスラブ系の人口が多かった地域であり、ソ連時代から鉱業で知られるルードゥヌィ市でもロシア系住民は多い。今回は、カザフ人のほか、ロシア人やウクライナ人など8名の人々からソ連時代の記憶を聴取することができた。コスタナイ州では州都を遠く離れた村落部でも聞き取り調査を行った。回答で大きく評価の分かれたのはソ連末期のゴルバチョフ政権であり、ソ連を崩壊させた同政権の未熟さや能力の不足を批判する声と同時に、ペレストロイカは当初は有害に見えたとしても、その後には生活条件の顕著な向上をもたらしたとして高く評価する意見も聞かれた。このような見解の相違は回答者の民族や過去と現在の境遇などとどのような相関関係にあるのか、今後とも継続して検討すべき課題と考えている。収録されたインタビュー内容は、現在文字起こしの作業を進めており、非ロシア語の回答についてはロシア語への翻訳を合わせて行っている。 以上の、海外調査と並行して、最終的な成果のとりまとめとして予定している英文論文集について、研究分担者と協力者は企画の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにカザフスタンの南部、東部、そして北部地域でインタビュー調査を実施することができた。もとより広大なカザフスタン全土を回ることは無理であるが、地域性という観点からはバランスがとられていると考える。次年度は、これまで調査を行っていない西部地域を対象とすることにしたい。また、インタビュー記録の文字起こし作業は、研究協力者の監督の下、ようやく軌道にのってきたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
カザフスタンにおける調査を完了させるとともに、インタビュー調査の文字起こし・翻訳作業を集中的に進めたい。また、成果とりまとめの一環として2015年もしくは2016年に「ソ連時代の記憶」に関するワークショップの開催を計画している。
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