2014 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおけるソ連時代の記憶:過去と現在の照射
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24401009
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小松 久男 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30138622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 記憶 / ソ連時代 / 中央アジア / カザフスタン / ウズベキスタン / キルギス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まずカザフスタンで現地調査を行った。ただし、当初予定していたカザフスタン西部のウラルスク州での調査は空港改修のためにアクセスがむずかしいことから次年度に延期することとし、東南部のアルマトゥ市近郊でのインタビュー調査に変更した。これと並行して、本研究と関係する学術刊行物・資料の収集をカザフスタンとウズベキスタンで行った。その結果、まだ萌芽的な段階とはいえ、オーラル・ヒストリーへの関心は現地の研究者の間にも生まれていることを確認することができた。 次に、これまでにカザフスタンで収録したインタビューの録音71件をすべて文字起こしした。これは研究分担者と研究協力者の間で共有して今後の分析の基礎資料となるが、ロシア語やカザフ語などからの英訳の作業は今後に残されている。 以上に加えて、研究成果の発表について研究分担者と研究協力者の間で協議を行って、英文の論文集を刊行することを決定し、章の構成と分担についても合意を得た。また、もう一つの成果発表の機会として、2015年9月11-12日に開催されるNIHUプログラム・イスラーム地域研究主催の国際シンポジウムでSoviet-era Memories in Central Asiaと題するセッションを開設することを決定した。このセッションでは、これまでの中央アジアにおけるソ連時代の記憶に関する研究成果を報告するとともに、文化人類学などの他分野および記憶に関する理論的なアプローチの専門家をコメンテータに迎えて総合的な議論を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カザフスタンにおけるインタビュー調査は、現在71件まで行っているが、これは当初予定していた100件にかなり近づいていると判断する。広大な国土を有するカザフスタンの全域をカバーすることは容易ではないが、残された期間に可能な限りの現地調査を行うことにしたい。また、インタビューの録音についてもほぼ文字起こしを終えて、本格的な分析に入ることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまでに現地調査を行っていないカザフスタン西部のウラルスク地方でのインタビュー調査を実施する。 次に文字起こしの済んだインタビュー記録を読み込んで本格的な分析作業を進める。そのさい、ウズベキスタンやキルギスでの調査結果との比較検討にも留意したい。 最後に、先に述べた国際シンポジウムでの議論をふまえて英文論文集の質的な向上に努めたい。
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Causes of Carryover |
発注した外国語書籍が期限通りに入荷しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に発注した外国語書籍の購入にあてる。
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