2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネオ・リベラリズムの進展とアジア化するオーストラリア社会に関する人文地理学的研究
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24401036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堤 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90281766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 道代 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40368395)
葉 せいい 茨城大学, 人文学部, 教授 (30242332)
筒井 由起乃 追手門学院大学, 国際学部, 准教授 (10368186)
松井 圭介 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60302353)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オーストラリア / 多文化社会 / ネオ・リベラリズム / アジア化 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの3年間に,大きく3つの観点から研究を進めてきた。第一に代表的なエスニックコミュニティの調査,第二に,日豪間の経済交流とその変化の観点からの考察,そして第三に観光化の進展に伴うオーストラリア社会の変容である。 第一の代表的なエスニックコミュニティの調査としては,研究代表者の堤がオーストラリアのセンサスデータとGISを組み合わせた社会経済統計分析を進め,エスニックコミュニティの特定方法に関して論文としてまとめた。研究分担者の吉田は,シドニー郊外のイタリア系コミュニティの調査(1960年代までに入植した代表的なエスニックグループ),研究分担者の筒井はアデレード郊外のヴェトナム系コミュニティの調査(1970年代~1990年代に入植した代表的なエスニックグループ),そして研究分担者の葉はキャンベラ郊外の中国系コミュニティの調査(2000年代以降に入植した代表的なエスニックグループ)を実施した。 第二の日豪間の経済交流とその変化の観点としては,研究代表者の堤が,日本向けの農産物輸出に関する調査を南オーストラリア州において実施した。 第三の観光化の進展に伴うオーストラリア社会の変容については,研究分担者の松井が,ウルル(エアーズロック)の観光化と先住民の権利調整に関する現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初に予定していた重要な項目について,ほぼ現地調査が終了した。成果公表の部分がやや弱い印象があるが,これについては研究の最終年度(平成27年度)に集中して取り組むことから,当初の目的を十分に達成できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,研究成果の公表については,昨年度に集中的に実施した各代表的なエスニックグループについて,研究代表者・研究分担者が協力して論文として発表する予定である。 また,第二の経済交流の観点からは,研究代表者の堤が,昨年度に引き続き,日本向けを強く意識した鉱工業と食品加工業を事例として,日本への輸出メカニズムについて資料収集を進める。 最後の第三の観点については,研究分担者の松井が,オーストラリアの先住民にとっての宗教的聖地と観光化をめぐるポリティクスの視点から,研究成果を論文として公表する予定である。 さらに,研究の国際的な進展については,2015年8月にアイルランドのダブリンで開催される国際地理学連合(IGU)のUrban Commissionの場において口頭発表を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者および研究分担者は,他の科研プロジェクトで代表を務めたり,分担者になったり多忙を極める者が多い。様々なプロジェクトを兼任するための日程調整上,若干の旅費残額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究最終年度を迎え,海外での学会発表もすでにエントリー済みである。調査や海外での成果発表など,旅費が多くかかる見込みであることから,今年度の残額を次年度分と合算して用いることで,当初の研究目的の遂行に支障はない。
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