2013 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン系移民第1.5世代による社会生活の構築に関する比較研究
Project/Area Number |
24401039
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長坂 格 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60314449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (00401688)
鈴木 伸枝 千葉大学, 文学部, 教授 (70412731)
関 恒樹 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (30346530)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化人類学 / フィリピン / 家族 / 移民 / 子ども / アイデンティティ / 第1.5世代 |
Research Abstract |
本研究では、子ども期に海外移住した人々を第1.5世代と呼び、異なる国へと移住したフィリピン系第1.5世代の調査を実施し、彼らの移住前と移住後の社会生活、アイデンティティの構築プロセスを比較検討することを目的としている。3年計画の2年目に当たる今年度は次のような調査研究を実施した。長坂は海外研究協力者のPertierraのオーストラリア調査、Fresnoza-Flotのフランス調査をそれぞれ支援しつつ、共同研究全体の理論的視点の整理と、フィリピンの農村地域で子どもが生育する社会環境についての調査を実施した。鈴木は、日本在住の1.5世代移住者の家族関係に関する調査をフィリピンの彼らの出身地社会において実施した。高畑は、研究協力者の原とともに、日本各地の第1.5世代のライフヒストリーの収集を、修学・就業経験や将来展望に特に注目しておこない、その分析をおこなった。小ヶ谷は、カナダ在住の第1.5世代の追加調査を実施し、特に呼び寄せられた若者同士の紐帯のあり方について聞き取りをしたほか、過去の対象者とは異なるルートで トロントに渡った1.5世代にもインタビューを行った。関は、昨年度までのアメリカ調査で得た資料を整理した。また、本年度は、International Conference on Children, Migrants, and Third Culture Kids (Krakow), 112th American Anthropological Association Annual Meeting (Chicago), Philippine Studies Conference of Japan (Kyoto)の3つの国際会議においてパネルを組織して調査研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス、イタリア、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本での調査は順調に行われている。代表者らは過去2年間に国際会議での成果発表の機会を4回つくり、すべての分担者、研究協力者が、代表者らが組織したパネルでの発表をおこなった。それらのパネルでは、トランスナショナリズム研究で世界的に活躍するKaren Fog Olwig氏(University of Copenhagen)、フィリピンからの国際移住についての研究を長年リードしてきたMaruja Asis氏(Scalabrini Migration Center)をディスカッサントとして招へいし、プロジェクト全体、各ペーパーへのコメントを受けた。そうした成果発表の機会を重ねることでそれぞれの残された調査分析課題も明確化されている。
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Strategy for Future Research Activity |
6カ国のフィリピン系第1.5世代の社会関係やアイデンティティに関しては、概ね調査を終了している。今年度は、最終年度にあたるため、補充調査と成果公表のための分析作業を中心におこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度末(3月)に国際会議でパネルを組織し、発表者とディスカッサントを招へいするために予算の繰り上げ申請をおこなったが、国際会議用に申請していた別予算での招へいが可能となったため、使用する必要がなくなり、次年度に使用することとした。 代表者、分担者、研究協力者の研究発表のための予算に充てる他、平成26年度末に計画中の本研究課題と関連して開催する予定の国際シンポジウムへの研究者の招へいのための費用に充てる。
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Research Products
(16 results)