2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける生きものがたり-生き物の生死をめぐる文化的対応に関する比較研究
Project/Area Number |
24401044
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田口 理恵 東海大学, 海洋学部, 准教授 (70390713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 いずみ 東海大学, 海洋学部, 准教授 (20554413)
川野 美砂子 東海大学, 海洋学部, 教授 (00260117)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生命観 / 自然観 / 供養と供犠 / 生き物文化 / アジア / 放生と放流 |
Research Abstract |
本研究は、日本および東南アジアにおいて、日常のなかで、人々が生き物の死をどのように受け止め、対処してきたかを考えることで、日本独自といわれてきた生き物供養の相対化を目指すものである。そのために、(a)研究会、(b)国内合同調査、(c)日本および東南アジアでの事例研究の調査、(d)海外フィールドでの合同調査と、4つの活動を組み合わせ、メンバー間で問題意識と視点の共有化をはかりながら、それぞれが事例研究に取り組む体制で進めている。 本年度は、(a)東海大学海洋学部にて研究会を3回実施した。(b)国内合同調査は佐渡・新潟にて、生き物供養碑の所在確認調査と生き物と信仰に関連した資料情報の収集を行った。(c)事例研究調査では、田口がインドネシア、川野がタイにて調査を行い、今年度が初回となる(d)海外での合同調査は、田口がコーディネーターとなり、インドネシアにて実施した。 インドネシアでの海外合同調査に向け、参加者に訪問先の概要や生き物との関わりなどをレクチャーする目的で1回目の研究会を実施し、2回目の研究会にて、海外合同調査で得た知見を紹介し、今後の課題を議論した。3回目研究会では、各自が研究活動状況を報告し、平成26年度の活動計画について話し合った。 海外合同調査は、メンバーの都合もあり、前半(川野・小林:スンバ島、バリ島)、後半(関・加藤:バリ島)と分けて実施した。スンバ島ではローカル競馬や、大型家畜の予防接種現場、屠畜場、伝統的な婚姻儀礼などの現場で家畜利用の調査を行った。バリ島ではウミガメの保護活動や、海洋生物を観光利用している諸現場を訪問見学した。 日本や東南アジアでの、環境保護や希少野生動物保護という世界的な潮流への地域側の対応と、自然との調和や自然保護の姿勢を示す「生き物を放す行為」について、その思想的な背景や歴史的な展開などに今後注目していくことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って(a)研究会、(b)国内合同調査、(c)事例研究調査、(d)海外での合同調査と、4つの活動を組み合わせ、メンバー間で問題意識と視点の共有化をはかりながら、それぞれが事例研究に取り組むことができた。 もっとも当初の計画では、平成25年度の合同調査で、国内が長崎(平戸、生月)、海外をタイとし、平成26年度に国内を佐渡・新潟、海外をインドネシアとしていたが、合同調査をコーディネートする担当者による現地との調整や準備状況および調査活動の効果を考慮して、平成25年度と平成26年度の訪問先を入れ替えて実施することにした。 研究会や国内外での合同調査の機会に、調査地の概況やフィールドで得た知見などを議論することで、比較研究のために今後、各自が掘り下げるべき事例や方向性が見えてきた。それは、環境保護や希少野生動物保護という世界的な潮流に対する、地域側の対応であり、自然との調和や自然保護の姿勢を示す「生き物を放す行為」について、その思想的な背景や歴史的な展開などである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度と平成26年度で、国内外での合同調査の実施先を入れ替えたので、平成26年度は、国内合同調査を長崎(平戸・生月)で、海外合同調査をタイにて実施する。事例研究調査では、予備調査から本格的な調査へと展開させていく。 平成25年度同様に、研究会で調査成果の報告と議論を積極的に行い、事例についての理解を深めていくとともに、研究成果として学会等で発表していくよう心掛ける。 本研究は、平成26年度が3年目となるので、今年度の後半には、メンバーそれぞれが3年間の研究活動をまとめるよう報告書を作成することと、関連分野の研究者を招いてのシンポジウム実施を計画したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定していた国内出張で、メンバーの出張期間が急な都合で短くなり、出張費用が安くおさえられたため。 平成26年度の国内出張で利用する。平成26年度後半に、3年間の研究成果をメンバー各自でまとめる計画であり、そのために、関連する文献資料情報の収集等など補足調査が必要になる可能性がある。調査訪問先の図書館等にて文献調査をする時間がとれるよう出張期間を長くするのに使用したい。
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Research Products
(2 results)