2014 Fiscal Year Research-status Report
20世紀型一国的政党配置の変容からみる21世紀型グローバルな政治改革の実証研究
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24402011
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
住澤 博紀 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50226601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会民主主義 / 国際進歩連合 / 欧州社会党 / ドイツ社民党 / 政党システム / 政治体制改革 / 民主党 |
Outline of Annual Research Achievements |
21世紀に入り、旧西側諸国の自由民主主義体制と政党政治は大きな転換期を迎えている。これまで一国を超えるEU社会党、欧州とアメリカの進歩主義に立つ協働の可能性を論じてきた。26年度は、欧米型自由民主主義体制の下での政党モデルが、アジア・アフリカ諸国、社会主義体制からの移行諸国などで、どのような形で根付くことができるのかという課題が重要となる。1990年、冷戦終結直後に楽観された複数政党制の下での議会主義への移行は、この20年で停滞、あるいは逆行すら見られるからである。とりわけ工業化が進展するアジア諸国で、市場主義に立つ政党打鍵ではなく、生活や社会的安定を目指す社会民主主義政党が発展できるかどうかは、地域の安定に大きな意味を持つ。 この関連で欧州発の「国際進歩連合」の結成・展開とその可能性を検討した。ドイツ社民党とブリュッセルの欧州進歩研究財団の資料や国際会議・セミナーをを軸に、そのグローバルな活動を追った。この関連で、ベトナム社会科学院とエーベルト財団ハノイ事務所の共催で行われた国際会議(2014年 5月6-7日、ベトナムのハノイ郊外で開催された、Modern Market Economy, and the International Integration in Vietnam)は、ベトナムの市場経済への統合が、EU社会民主主義、日本の市民社会・政治改革、シンガポール、中国、ラオスなどの比較をとおして論じられる、興味ある会議であった。季刊誌「アジア社会民主主義」に加入する、東南アジア諸国の社民系政党や研究者、ジェーナリストなどのネットワークは存在するが、それらはまだ欧州社会党や「国際進歩連合」が期待するほど成熟していない。当面は、雇用政策、社会保障、労働条件などの領域で共通の基盤や価値を形成する段階である。しかしTPPなどここでも国際化が進行しており、ネオリベラルな勢力以外の政党組織の在り方が問われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文執筆は順調だが、平成26年度9月に計画したアジア、アメリカの民主党系、社会民主主義系政党、およびそのシンクタンク組織へのヒアリング調査は、訪問先団体との調整などの問題もあり実行できなかった。アジアの社会民主主義系政党の中心となるマレーシアやフィリッピンも、研究者個人との接触レベルである。ベトナムの国際会議に招待され、アジアの社会民主主義系研究者やシンクタンク組織の研究員と意見を交換する機会はあったが、政党調査まではいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度9月に計画したアメリカの民主党系シンクタンク組織調査(ワシントン)とオーストラリア労働党、マレーシアや韓国の進歩系、社会民主主義系シンクタンク組織の調査は、日程調整がつかず実行できなかった。またベトナム会議はベトナム社会科学院の招待であるため、渡航費用は不要であった。これらは平成27年度の9月に、まとめて行うように日程計画を立て、実行できる段階にある。 また本来計画していた、全体の研究計画を再度、欧州社会民主主義の視点から整理するため、平成27年12月、あるいは平成28年3月に、ドイツ社民党(ベルリン)と欧州社会党・欧州進歩研究財団(ブリュッセル)を訪問調査する。
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Causes of Carryover |
平成26年度、アジアとアメリカを中心とする海外調査を実行できなかったため、この分に予定した旅費が使用できなかった。またベトナムでの国際会議が、報告者招待であったため旅費・滞在費が不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度9月に、アメリカへの調査、また12月にアジアへの調査を行う。とりわけアメリカでは、東部ワシントンでの民主党系シンクタンク組織へのヒアリング調査と、9月の西部海岸でのアメリカ政治学会への関連会議への参加を予定するため、また当初の計画にある、EU諸国での調査を行うため、すべての旅費は必要となる。
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Research Products
(3 results)