2012 Fiscal Year Annual Research Report
最貧困層の貧困削減:フィールド実験による債務契約デザインと企業家精神の検証
Project/Area Number |
24402023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
伊藤 成朗 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター・ミクロ経済研究グループ, 研究グループ長 (50450482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和志 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済研究グループ, 研究員 (90450551)
ションチョイ アブー 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済研究グループ, 研究員 (40617461)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 貧困削減 / 債務契約 / 実験介入 |
Research Abstract |
本研究は、最貧困層にマイクロファイナンスが普及しない原因として、以下をRCT(ランダム化統御試験)を通じて実証的に検討することが目的である。 需要側の原因 1.観察不可能な起業家精神・経営能力が不足しているため。 2.凸性があるために、生産的投資を実施するまで待ち時間が長いこと。 供給側の原因 3.最貧困層は貧困層よりも返済不能リスクが高い。 こうした原因を検討する背景には、借り手を対象にした経営訓練などが奏功していないという研究報告が複数ある。現行の貸し出し方法の多くは借り手に経営能力があることを前提としているが、その前提が実証的に検討されたことはない。経営能力の不足がどれだけ重要かを実証的に示すことができれば、より現実的な方法で金融サービスを最貧困層に提供することが可能になる。 本研究は最貧困層の居住するバングラデシュ北部地域でマイクロファイナンス事業を展開するNGOと共同して実施する。2012年度は別予算でベースライン調査を実施し、本予算からは現地調査に加えてマイクロファイナンスに関わる再度の委託調査費用を支出した。具体的には、対象者の居住する村落ごとに家計センサス、住民による貧困ランキングを行った。貧困階層(最貧困、貧困)ごとに参加者数上限を決め、参加資格を村内でランダムに割り当て、さらに、参加意志を表明した者を実施群と統御群にランダムに割り振った。参加者全員を対象に家計調査を行った。このように、マイクロファイナンスへの参加者を募り、グループを形成しながら、家計調査を実施した。2013年度は4種類の債務契約を提供することで、上記仮説を検定するRCTを開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
別予算によるベースライン調査も完了し、実験介入の準備も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、現場での状況に配慮しつつ、実験介入を慎重に進めることにしたい。
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