2012 Fiscal Year Annual Research Report
女性のキャリア形成からみる農場経営参画を可能にする要因の解明
Project/Area Number |
24402031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (00286121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30254725)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性のキャリア / 農場経営参画 / オーストリア / スイス・ドイツ語圏 / 南部ドイツ / 北部イタリア / 家族経営 / 職業資格 |
Research Abstract |
欧州南部ドイツ語圏条件不利地域では小規模な家族農業経営が行われており、男子優先による家父長的な世代継承を伝統としている。しかし、オーストリアでは近年、女性農場経営主が増えている。風土と文化を同じくしながらも、女性農業者が経営者としてのキャリアを達成できる地域とそうでない地域とがあるのはなぜか。本研究では、家父長的な伝統を持つ家族農業経営において、女性が経営参画するための道筋を探る。 初年度は、まずオーストリアにおいて本調査を実施した。連邦農林業資格授与機構やオーストリア農村継続教育研究所で女性の農業教育制度についてヒアリングし、それらを通じて、4州(シュタイヤーマルク、低地オーストリア、高地オーストリア、ザルツブルク)で、女性農場経営主、女性農業マイスター、農家家政マイスター計14名に、ライフコースとキャリア形成に関する構造化面接を行った。 また、スイス・ドイツ語圏3州(アルガウ、チューリヒ、グラウビュンデン)、南部ドイツ2州(バイエルン、バーデン=ウユルテンベルク)で予備調査を実施した。スイスでは、連邦調査機関アグロスコープ・レッケンホルツ・テニコンを通じて、女性農場経営主、女性農業マイスター、女性農学士計5名に構造化面接を行った。南部ドイツでは、州政府機関(農林省、農業研究所、農業教育連合)や農業学校でヒアリングし、それらの機関やホーエンハイム大学農学部名誉教授ベルグマン博士を通じて、女性農場経営主計8名に構造化面接を行った。これらの地域でも、家族農業経営における女性の領域として、民宿や直売が発達していた。しかし、バイエルン州では農地の一括相続が定められており、スイスでは公立の農業学校での基礎教育が直接支払いの条件になっており、女性が農場経営主になるためのハードルを高くしていた。 次年度は、構造化面接の分析と、スイス・ドイツ語圏、南部ドイツ、北部イタリアでの本調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーストリアでは本調査として14件の構造化面接ができた。スイス・ドイツ語圏3州(アルガウ、チューリヒ、グラウビュンデン)では予備調査として5件、南部ドイツ2州(バイエルン、バーデン=ウユルテンベルク)でも予備調査として8件の構造化面接ができた。しかし、北部イタリア(トレンティーノ=アルテ・アディジェ州南チロル地方)では、調査時期が夏期休暇や学期休暇にあたり、構造化面接ができなかった。次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度・平成25年度は、初年度に実施した計27件の構造化面接の分析と、スイス・ドイツ語圏、南部ドイツ、北部イタリアでの本調査を実施し、平成26年度7月に横浜で開催される世界社会学会での研究報告や、欧州南部ドイツ語圏条件不利地域からの研究者を招聘してのシンポジウム開催にむけて、準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年3月17日から31日に南部ドイツ2州(バイエルン、バーデン=ウユルテンベルク)、スイス・ドイツ語圏3州(アルガウ、チューリヒ、グラウビュンデン)へ出張したが、精算が年度をまたいだため残高が生じた。直接経費の残高1,461円を除いて平成25年4月17日には精算済み。残高1,461円は、研究代表者の所属機関の会計規準変更により、小額の文具等消耗品を直接経費で購入できなくなったために発生したもので、次年度に使用する。
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