2013 Fiscal Year Annual Research Report
女性のキャリア形成からみる農場経営参画を可能にする要因の解明
Project/Area Number |
24402031
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (00286121)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30254725)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 女性のキャリア / 農場経営参画 / オーストリア / スイス・ドイツ語圏 / ドイツ・バイエルン州 / イタリア・ボルツァーノ自治県 / 家族経営 / 職業資格 |
Research Abstract |
オーストリアでの補充調査、スイスとドイツ・バイエルン州での本調査、イタリア・ボルツァーノ自治県(=南チロル)での予備調査を実施した。 8月25~27日オーストリア・ザルツブルク州にて農村家政マイスターに関する補充調査を実施。州農業会議所家政教育担当と州農業学校家政科監督へヒアリングを実施し、クレースハイム農業学校家政科教室を視察した。8月28~31日、スイスにて本調査を実施。チューリヒ州とグラウビュンデン州にて女性農業士(Landwirtin EFZ)4名と有機農場の女性経営主1名に構造化面接調査を実施した。9月1~7日、イタリア・ボルツァーノ自治県にて予備調査を実施。県農林業および家政教育課と山岳農家アドバイザーへのヒアリングをもとに、以下の教育機関の長にヒアリングを実施した。サレルン農業および家政専門学校、ラインブルク果樹および園芸専門学校、フランケンブルク家政および栄養学専門学校、アウアー農業高等学校。また、南チロル農民連盟・農家女性組織を通じ、女性農学士1名、女性農場経営主3名、農家女性リーダー3名への構造化面接調査を実施した。 平成26年3月22~24日オーストリア・ウィーン市にて補充調査を実施。特別な教育研究機関がある施設園芸について、女性農場経営主3名(うち2名は園芸マイスター)への構造化面接調査を実施した。3月25日~4月1日、ドイツ・バイエルン州にて農村家政マイスターの本調査を実施。州農業研究所を通じ、ランズベルク農業および家政継続教育センターでのヒアリングと、農村家政マイスター10名と女性農業マイスター1名への構造化面接調査を実施した。 11月2~3日第61回日本村落研究学会大会にてオーストリア調査の結果を報告し、さらに、女性農業者のライフコースとキャリア形成に関するスイス、オーストリア、日本の3カ国比較を『社会情報論叢』17号に掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女性が農場経営主の約4割を占めるオーストリアにて、女性農学士1名、女性農林業マイスター2名、女性園芸マイスター2名、農村家政マイスター10名、女性農場経営主1名、女性農業者1名、計17名を対象に構造化面接調査を実施し、ライフコースとキャリア形成についてデータを収集した。その結果について、平成25年11月第61回日本村落研究学会大会で研究報告した。 これに対して、男子による農場継承が強固に残るスイスでは、例外的ともいえる女性農学士1名、女性農業マイスター1名、女性農業士(Landwirtin EFZ)4名、女性農場経営主4名、計10名への構造化面接調査を実施することができた。 ドイツ・バイエルン州では、やはり男子による農場継承を伝統とする中で、女性農業者を主な対象とした農村家政マイスターの養成が進んでいた。女性農業マイスター1名、農村家政マイスター11名、農村家政専門工2名(うち1名は女性農場経営主)、女性農場経営主1名、女性農業者1名、計16名への構造化面接調査を実施することができた。 イタリア・ボルツァーノ自治県(=南チロル)では、男子による農場継承の伝統が強く残る点ではスイスやドイツ・バイエルン州に共通するが、農業関連のマイスター制度がない点や農場経営主の年齢が比較的高い点では異なっていた。平成25年9月の予備調査をもとに平成27年2月に本調査を実施し、女性農業者への構造化面接調査によって、女性農場経営主や農村家政マイスターがいない状況下での女性農業者の経営参画を探りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
オーストリアとスイスでの調査結果について、平成26年7月13~19日横浜で開催される第18回世界社会学会議にて、“The Participation of Women in Farm Management in the Development of Sustainable Food Safety: Case Studies in Switzerland and Austria“として研究報告する。この共同報告者として来日するオーストリアとスイスの研究者を迎え、7月12日埼玉県男女共同参画推進センターにて国際シンポジウムを開催し、研究成果をアウトリーチする。また、11月22~23日神戸大学で開催される第87回日本社会学会大会にて、以上の成果を日本語で研究報告する。 ドイツ・バイエルン州における農村家政マイスター調査の結果を分析し、11月1~2日に岩手県宮古市で開催される第62回日本村落研究学会にて研究報告し、『村落社会研究』等の学術雑誌に論文を投稿する。 平成27年2月、イタリア・ボルツァーノ自治県にて本調査を実施する。女性農業者8名程度に構造化面接調査を実施する。イタリア調査の結果は、平成27年秋に開催される第63回日本村落研究学会にて研究報告し、学術雑誌に論文を投稿する。 最終年度には、4地域での調査結果を比較分析し、平成27年8月に英国エジンバラ市で開催されるヨーロッパ農村社会学会と、秋に開催される第88回日本社会学会大会で研究報告し、年度末までに報告書をまとめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年3月22日から4月1日(4月2日帰国)にかけてオーストリア・ウィーン市とドイツ・バイエルン州で現地調査を実施したが、精算が年度をまたいだため残高が生じた。 直接経費の残高3,999円を除いて、380,204円は平成26年5月14日に精算済み。残高3,999円は、研究分担者の所属機関において、次年度7月13日~19日パシフィコ横浜で開催される第18回世界社会学会議での研究報告にかかる旅費にあてる。
|