2014 Fiscal Year Annual Research Report
女性のキャリア形成からみる農場経営参画を可能にする要因の解明
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24402031
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (00286121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30254725)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性のキャリア / 農場経営参画 / 南部ドイツ語圏 / 家族経営 / 職業資格 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年7月13~19日横浜で開催された第18回世界社会学会議(ISA)にて、オーストリアとスイスでの調査結果を“The Participation of Women in Farm Management in the Development of Sustainable Food Safty: Case Studies from Swizerland and Austria“として研究報告した。このために、オーストリアの研究協力者であるTheresia Oedl-Wieser、スイスの研究協力者であるRuth Rossierを招聘し、共同報告した。 両者の来日に合わせて、同年7月12日埼玉県男女共同参画推進センターにて国際シンポジウム「食と農を担う女性たち」を開催し、オーストリアとスイスにおける女性農業者の経営参画について、研究成果をアウトリーチした。 平成26年11月22日~23日に神戸大学で開催された第87回日本社会学会大会にて、オーストリアとスイスにおける女性農業農場経営主の事例から、女性の農場経営参画を可能にする職業教育と、家族農業において女性経営主が生まれる要因について、分析結果を研究報告した。 以上の調査研究結果を研究論文「オーストリアとスイスの家族農業における女性経営主のキャリア形成パターン-農業分野の職業資格取得を中心に-」として『十文字学園女子大学人間生活学部紀要』第12巻に執筆した。 平成27年2月28日~3月10日にかけて、スイス(スイス農村女性連盟、トゥルガウ州およびグラウビュンデン州の農業教育センター)、オーストリア(農業会議所女性農業者組織および農村継続教育センター)、ドイツ連邦共和国(バイエルン州ローゼンハイム家政学校、ドイツ農民連盟教育担当および農村女性連盟)にて、女性農業者を対象とした職業教育の実務者へヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、平成27年2月または3月に一週間、イタリア共和国ボルツァーノ自治県(=南チロル地方)にて、女性農場経営主のライフコースとキャリア形成に関する本調査を実施することになっていた。 ところが、イタリアの職業教育は他の3カ国とは異なり、デュアルシステムによるマイスター制度がない。また、平成27年8月イギリス・アバディーンで開催されるヨーロッパ農村社会学会での報告と同年10月末から11月初旬に岐阜県で開催される第62回日本村落研究学会での報告にむけて、スイス、オーストリア、ドイツ連邦共和国バイエルン州、以上3ヶ国の女性農業者を対象とした職業教育および職業資格について、関係機関でのヒアリング調査を前倒して実施する必要が生じた。 そこで平成27年2月から3月にかけて、イタリアでの本調査に代えて、スイス、オーストリア、ドイツ連邦共和国バイエルン州での機関調査を実施した。この結果、南部ドイツ語圏における女性農業者を対象としたマイスター制度について、事例の考察を可能にするデータを収集することできた。しかし、その一方で、イタリアでの本調査を次年度に延期することになってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、8月17日~21日英国アバディーンで開催される第26回ヨーロッパ農村社会学会議(ESRS)にて、オーストリアとスイスにおける女性農業経営主の事例分析から、男子優先の伝統をもつ家族農業経営において、農業の職業教育と職業資格が女性の経営参画を促している実態を報告する(Effects of vocational education and qualification on change in gender-oriented family farm management: A case study of female farm managers in Austra and Switzerland)。この英文報告のために、4月末までに英文抄録、7月末までに英文論文を完成させる。 9月初旬に1週間、イタリア共和国ボルツァーノ自治県にて、女性農場経営主約10名を対象にライフコースとキャリア形成に関する訪問面接調査を実施する。また、ローマにあるイタリア国立統計局にて担当者へのヒアリングを実施し、南チロル地方の特殊性を確認する。 10月末から11月初旬に岐阜で開催される第62回日本村落研究学会大会にて、スイス、オーストリア、ドイツ連邦共和国バイエルン州における農村家政マイスター制度の改革と女性の経営参画について研究報告する。このために、8月末までにアブストラクト、10月中旬までに報告論文を完成させる。 11月から12月にかけて、オーストリア、スイス、ドイツ連邦共和国バイエルン州での事例にイタリア共和国ボルツァーノ自治県での事例を加え、4年間の調査研究をまとめる。1月から2月にかけて成果報告を英訳し、年度末末までに英文の調査報告書を完成させ、調査対象機関および研究協力者に送付する。合わせて、調査報告書のドイツ語抄録を用意し、調査対象となった南部ドイツ語圏の女性農業者に送付する。
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Causes of Carryover |
平成26年度実施予定だったイタリア共和国ボルツァーノ自治県での調査を平成27年度に延期したための残高。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
直接経費の残高185,327円のうち144,708円は研究代表者の所属機関において、40,619円は研究分担者の所属機関において、次年度に実施するイタリア共和国ボルツァーノ自治県での現地調査にかかる旅費にあてる。
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