2012 Fiscal Year Annual Research Report
日韓中高齢者施設の災害時要援護者の被災後の生活再生の実質化三要素の整備と防災研究
Project/Area Number |
24402039
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
北川 慶子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00128977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 悦夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (10155004)
穗屋下 茂 佐賀大学, 全学教育機構, 教授 (70109221)
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
外尾 一則 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80275825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 災害時要援護者 / 中国・韓国の防災対策 / 避難所の医療支援 / 要援護者施設 / 地域防災計画 / 防災・減災対策 |
Research Abstract |
自然災害時における災害時要援護者への支援には、被災者の救出・救護そして、同時に行われる避難支援、一時的な避難所生活を経て、円滑な生活復帰また大規模災害時には、地域の復興があり、自然災害に対する防災・減災対策の整備こそが要援護者の安心・安全生活がある。 わが国の防災計画が、真に要援護者対応が検討され策定されているかが肝要である。それを南海トラフ大地震等の被災推計がされている都府県の要援護者対策調査と地域防災計画を分析したところ、記載はされているもののほとんど具体的な記述がないことが明らかになり、日本自然災害学会等で研究報告を行った。 日本の被災状況に鑑み、台湾、中国、韓国の防災対策の進捗状況調査を、要援護者施設の防災意識、要援護者避難、福祉避難所機能、要援護者生活支援の在り方(安全避難、避難所生活、生活再生)の調査を韓国と共同で行った。韓国側の調査により、避難所は大規模建造物、地下鉄、公共建造物、地下街のいずれも地下1階に設置され、中でも民間のアパートなどの地下には1000㎡から12,000㎡で300-4,000人の避難者を受け入れることができる規模であることが明らかになった。また、避難所の質についての議論は少なく、福祉避難所は見られなかった。ただ、避難所での医療支援は、平時には通常の病院であるが災害発生時には、医療支援の司令塔としての機能を発揮するシステムが構築されている。しかし、避難所は、被災者が長期間そこに滞在するということを考慮されてはおらず、戦争状況下における避難場所としての設定であり、自然災害時の避難所という考え方での設置ではないということも明らかになった。 自然災害発生時の避難については、堅牢な高層階への避難には、時間的に制限されるため、殆どの避難所は、地下鉄の駅等に設置されることになり、避難場所への医療支援も非常に困難であることが本研究によって顕在化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画以上に進展の予定であったが、当初計画に平成24年度は中国での要援護者施設調査を予定していた。しかし日中関係の深刻な状況にそれが阻まれ、若干遅滞した。しかし、韓国での実地調査、資料調査、要援護者施設調査が進行したために、平成25年度の調査計画を前倒しで行うことができたために、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に中国調査を実施する。すでに準備は整っているため可能である。台湾における要援護者施設の防災減災調査、災害時医療支援にかかる調査し、避難所の質を検討する。韓国の要援護者全国調査に基づき、施設入所者の危機管理状況の比較研究を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において、実施予定であった、中国研究協力者とともに高齢者施設の防災意識調査を実施し、研究成果をまとめ、平成25年度の韓国調査に向けての国別調査票の検討を行う予定であった。しかし、平成24年9月をピークとする社会情勢の悪化に伴い、日中共同研究の社会学的調査は困難となった。地域を変えての実施を試みたが、日中共同調査はやはり実施困難であった。 平成25年度においては、平成24年度において、実施予定であった、中国研究協力者とともに高齢者施設の防災意識調査を実施し、研究成果をまとめ、平成25年度の韓国調査に向けての国別調査票の検討を行う予定であった。しかし、平成24年9月をピークとする社会情勢の悪化に伴い、日中共同研究の社会学的調査は困難となった。地域を変えての実施を試みたが、日中共同調査はやはり実施困難であった。平成25年2月現在でようやく、調査実施が可能となったため、まず遅延していた調査を実施する。遅れている韓国における中国と同様の調査(災害時要援護者の高齢者施設における防災意識調査)を実施し、日本での施設環境の相違とケア職員の防災意識との比較分析を行い、遅れを取り戻す。
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