2012 Fiscal Year Annual Research Report
多言語多文化児童の認知特性に関する基礎研究―個性を生かす教育を目指して
Project/Area Number |
24402043
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 日英バイリンガル児童生徒 / 多文化共生 / 学習言語 / 学習支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで研究がほぼ皆無であった、海外英語圏を多言語多文化環境として育つ日英バイリンガル児童の発達環境および認知特性に焦点を当てた大規模調査を行うことである。とくに(1)海外在留日本人児童に焦点を当てたフィールド調査を通して、児童の発達環境および認知特性を心理学的な手法で明らかにし、その結果を現場で使える査定ツールの開発につなげることと、(2)フィールド調査結果を現場の学習支援に生かす方法を検討するために、既に海外で成果を挙げている多言語児童支援の視察調査を行うことを目指すものである。 以上の目的を達成するために、平成24年度は以下の調査を実施した。 (1)シカゴ日本人学校および補習校で5歳から10歳までの日英バイリンガル児童を対象に詳細な発達・学習環境を知るため、保護者に記入してもらう言語発達環境質問紙を開発した (2)(1)の質問紙を50名の児童の保護者に記入してもらい、初期の分析を行った。 (3)(2)の質問紙調査に先立ち、10月に学校関係者および調査協力者を対象に、バイリンガル児童の認知発達に関するワークショップを現地で開催した。 (4)上記調査対象児童を対象に行うコミュニケーション力、実行機能、社会認知能力の課題を開発した。 質問紙調査により、シカゴ日本人学校および補習校に通う児童の言語発達環境には大きくふたつのパターンがあることがわかった。ひとつは現地で生まれ育った児童のグループ、もうひとつは日本で生まれ親がシカゴに赴任するのに合わせて海外に来た児童のグループである。新しい傾向としては、一つ目のグループに国際結婚児童が増えていることと、二つ目のグループの年齢層が低下していることであった。今後詳細な分析を行い、その結果は学会などで発表するほか、協力校で報告会を開きフィードバックする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地でのワークショップで学校関係者、保護者に本研究の意義を理解してもらうことができ、質問紙調査にも大勢の保護者の協力を得て実施することができたことで、初年度の主な目的は達成できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
シカゴ日本人学校との連絡を密にとり、年度前半には質問紙の結果をまとめ、関係者に報告する。年度の後半にはこれまでに開発した課題を現地にて実施するとともに、2度目のワークショップと聞き取り調査を行う。ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの日本人学校を訪ね、調査の打ち合わせをする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にはこれまでの研究結果を国内外の学会で発表するための旅費、シカゴ日本人学校での課題実施のための費用、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの日本人学校を訪ねるための費用として使用する。
|
Research Products
(8 results)